一般社団法人 情報システム学会
一般社団法人情報システム学会
概要
 情報システム学会(Information Systems Society of Japan)は,人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした学会です。本学会は、日本学術会議指定した「協力学術研究団体」です。
情報システム学会での“情報システム”の捉え方
“情報システム”は
あなたに優しいものですか?
あなたに有益なものですか?
あなたに何かを強いていませんか?
そして,あなたは“情報システム”を
十分に使いこなしていると実感していますか?
“情報システム”は
人間活動を含む社会的なシステムです。
豊かな情報空間をもたらします。
単なるコンピュータ応用システムではありません。
人間の情報行動を支え,発展に寄与するものです。
組織活動に柔軟と革命を与えるものです。
2022年 砂田薫会長 新年のご挨拶
一般社団法人 情報システム学会
代表理事 会長 砂田薫
(国際大学GLOCOM)

 あけましておめでとうございます。いまだコロナの収束が見通せない不透明な状況が続いていますが、新年を清々しい気持ちでお迎えのことと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、近年は産業界や行政・教育機関などさまざまなセクターでDX(デジタル・トランスフォーメーション)と並んで、ウェルビーイング(well-being)やハピネス(happiness)といった概念が注目されています。IT産業でも、多様な人びとを幸福にする社会をつくるためにテクノロジーで何ができるか、といった議論が活発に行われるようになりました。単に研究や議論が増えただけでなく、具体的な実践を前提としてハピネスやウェルビーイングの指標化も試みられるようになっています。
 本学会は2005年の設立以来、「人間中心の情報システム(Human Oriented Information Systems)」を提唱し、「ウェルビーイング」をキーワードとする研究会活動をはじめとして、ひとり一人がより良い状態で働き、学び、生きていく社会をめざした動きに情報システムの観点から貢献してきました。
 今年は、学会設立で中心的役割を果たした浦昭二先生がお亡くなりなって10年になります。浦先生がはじめて「人間中心の情報システム」を提唱されてから30年以上経ちますが、産業界や行政機関においては今まさに「人間中心」という言葉が当たり前に使われる時代になりました。学校教育においても「学習者中心」というコンセプトが重視されるようになっています。浦先生は、情報システムをテクノロジーによる現状の課題解決としてだけではなく、より良い未来をつくる意図と方向性を備えたものであると考えていらっしゃいました。そのような価値重視の思想が根幹にあったと私には思われます。
 日本の20世紀は人口急増を背景に、企業は生産性や効率、売上や利益を目標に掲げて成長を遂げてきました。働く人びとは、そうした目標に向かって目的合理的な行為を求められてきました。また、行政機関においては書面手続きを重視するという意味での形式合理的な行為が必要とされてきました。しかし、人口は2008年をピークに急速な減少へと転じ、またデジタル化やグリーン化というグローバルな波が押し寄せて、もはや20世紀の日本モデルは全く通用しない時代になっています。
 今日、ウェルビーイングやハピネス、さらには環境問題や貧困問題等の解決を含めた持続可能な活動を行うことが企業にも行政にも求められています。多様な人びとにとって、多様な生命にとって、地球にとって、宇宙にとって、大切な価値を守り新たな価値を作り出していくという意味での価値合理的な行為の重要性がますます高まっていると言えるでしょう。情報システムを未来に向けた意図を反映するものと捉える視点は今まさに必要とされていると思います。

 最後になりましたが、今年がみなさまにとってすばらしい一年となりますようにお祈り申し上げます。


以上
2022年(令和4年)1月1日

 
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