情報システム学会(Information Systems Society of Japan)は,人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした学会です。本学会は、
日本学術会議が
指定した「
協力学術研究団体」です。
情報システム学会での“情報システム”の捉え方
“情報システム”は
あなたに優しいものですか?
あなたに有益なものですか?
あなたに何かを強いていませんか?
そして,あなたは“情報システム”を
十分に使いこなしていると実感していますか?
“情報システム”は
人間活動を含む社会的なシステムです。
豊かな情報空間をもたらします。
単なるコンピュータ応用システムではありません。
人間の情報行動を支え,発展に寄与するものです。
組織活動に柔軟と革命を与えるものです。
2021年 砂田薫会長 就任ご挨拶
一般社団法人 情報システム学会
代表理事 会長 砂田薫
(国際大学GLOCOM)
2021年(令和3年)5月29日に開催された社員総会と理事会で6代目の会長に選出されました。微力ですが、これからも楽しく実りの多い学会であり続けられるよう、皆様とともに活動していきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
情報システム学会は2005年4月の発足から今年で16年経ちました。全国大会・研究発表大会、各種研究会、講演会、懇話会といったイベントの開催、年2回の学会誌の発行とそのオープン化、充実したコンテンツの月刊メルマガの発行、情報システム学の体系化と『新情報システム学序説』の発行、「情報システムプロデューサの役割と育成」をはじめとする社会への提言など、これまで多くの会員によって活発な活動が行われてきました。この1年間は新型コロナによって学会活動もオンラインへの移行を余儀なくされましたが、そのノウハウが蓄積され、今後はオンライン、オフラインそれぞれの特徴を生かした新たな活動形態へ進化していくものと期待しています。
さて、情報システム学会は、浦昭二・慶應義塾大学名誉教授(1927−2012)が提唱した「人間中心の情報システム」を学会設立当初から重要な概念として掲げてきました。わたしはテクノロジー系だけでなく人間系(人・組織・社会)を含むものとして情報システムを理解すること、そのうえで一人ひとりの人間が尊重され成長していくような人間中心のテクノロジー活用を考えること、この二つが重要であると考えています。
テクノロジー志向の強い日本では、要素技術の開発で高い国際競争力を維持してきた半面、残念ながら人間中心のアプローチは乏しかったと言わざるをえません。その結果、北欧諸国のようなデジタル先進国と比べると、とくに行政・教育・医療の分野におけるIT活用で後れを取ってしまい、新型コロナ・パンデミック下でそれが露呈したという状況にあります。
今日では産業界のみならず多くの分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれるようになりました。DXとはデジタル化によって人びとの生活やビジネスさらには地球環境をより良い方向へ変えていくことを意味すると思います。そのためには、既存の構造やプロセスの変革が課題となります。わたしは、誰のため、何のため、どのようにテクノロジーを使うかを問い直し、人間中心の情報システムをつくることこそDXの核心であると考えています。
本学会はアカデミア、産業界そして行政・教育などの幅広い分野で情報システムの研究や実務に携わっている専門家の集まりです。多様なバックグラウンドをもつ会員相互の議論や交流を通じて、文理融合のシナジーが生まれ、知の創造と伝達に貢献してきました。変革の時代に存在価値のある学会であり続けられるよう、会員の皆さまには今後も活動への積極的な参加をお願い申し上げます。
以上
2021年(令和3年)6月29日