一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 伊藤 重隆
(みずほ情報総研)
明けましておめでとうございます。新年を迎え一言ご挨拶申し上げます。
皆様、どのようなお正月を迎えられたでしょうか。年始の初参りをされた方も多くいらっしゃるのではないかと思います。また、1月2日―3日に開催の箱根駅伝を寒い中、観戦に行く方もいらっしゃるのではないかと思います。
本年が皆様に取り良い年であるようにお祈り申し上げます。
さて、当学会も2014年で9年目を迎えます。月日の経過するのは早いと感じる次第です。同時に益々、時代が本学会に期待する役割が増すと考えております。
現在の社会情勢を考察しますと世界的に安定と不安定が混在している状況ではないかと思います。中東、アフリカでの政治情勢は緊迫を加えています。国際情勢は米国の国力が弱まりつつあり力の均衡が変化する予兆があるといわれています。一方、スポーツ界では2月にロシア連邦のソチで冬季オリンピックがあり、また、6月にはサッカー・ワールドカップがブラジルで開催と楽しい行事が予定されています。国内を見ますとアベノミックス効果で消費は増加し株価も昨年末は16,000円台となりました。2014年度の国家予算は消費税増税を前提として96兆円余りと最大規模と言われています。しかしながら、首都圏直下地震で大規模災害予想も発表され、東日本大震時の大災害が想い起こされ出来る限りの周到な準備を必要とすると感じました。また、災害時に正確な情報伝達・収集を行なう情報システムの重要性は東日本大震災時に証明されたと考えております。
現在の情報化に関する主要なテーマとしては、昨年「行政手続における特定個人を識別するための利用等に関する法律」が成立し2016年から個人番号(税務・社会保障・防災分野が対象)の利用が予定され、これに向けた重要な情報システム作りが本年から本格的に開始されると考えられます。また、企業、国家の重要技術情報・機密情報の窃取と銀行口座からの不正送金等を目的とした情報システムへのサイバー攻撃が継続的に行なわれおり情報セキュリティの重要性が一層増しています。また、効率的な情報システム構築・運用のためのクラウドについては一時のブームが沈静化に向かっているように見受けられます。ビッグデータについては、未だにセミナー会場は満員の状況が続いていますが日本での適用事例は多くない模様です。この理由を考えますと、どのような情報がどの時点でどんな形で必要かが経営レベルで明確で無いように思えます。この解決には、情報技術のみ強化しても解決されず当学会が主張している「人間の情報行動」を良く研究した上で情報システムを構築していくことが重要かと考える次第です。
昨年の当学会活動を振り返りますと代議員選挙から始まり5月には社員総会・シンポジウムが開催され、11月30日の新潟国際情報大学での第9回全国大会・研究発表大会が締めくくりになりました。また、会員の皆様のご寄付により故浦昭二先生の追悼集を11月に出版できました。ご協力有難うございました。
今年は、干支で「甲午(きのえ・うま)」の年に当たり、干支の六十年周期の中間を過ぎる時点であり世の中が激しく動く年とも言われています。「甲午」の意味ですが、「甲」は固い殻に閉じ込め中身を意識させないと言う意味があり転じて機が熟したとの意味となります。「甲午(きのえ・うま)」の年は非常に激しい動きがあると解釈されております。ちなみ六十年前の1954年には情報技術に革命的な影響を与えたトランジスター開発が行なわれた年で、更に江戸時代まで遡りますと1834年に「天保の改革」が行なわれ激動の年であったそうです。
このように言われている年ですが、当学会として時代の期待にも応えつつ着実に学会使命である情報システム学体系研究・確立とその普及並びに社会貢献を意識した活動を委員会活動、研究会活動を通じて会員の皆様と共に活発に進めて行きたいと考えております。
会員の皆様には、一層のご支援とご協力を頂きたく是非、よろしくお願いします。
敬具
2014年(平成26年)1月1日