一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 伊藤 重隆
皆様、明けましておめでとうございます。皆様に取り本年が、より良い年でありますようにお祈り申し上げます。
今年の干支は、酉です。飛ぶ鳥を落とす、大変に勢いがあることを言います。発つ鳥、後を濁さず、水鳥が飛び発った後の水面が時間を経るにつれ何事も無かった様に平常に還る、つまり人間活動が常に滑らかに行くようにする、日本人は自然を観察し人間活動をうまい表現で自然に例えています。先人の考え方を学ぶことは、まだまだ多いと思います。
昨年は、全国大会・研究発表大会を富山市国際会議場で開催しました。大学外施設で開催するのは初めてでしたが、当日は春の様な晴天に恵まれ盛況の内に開催できました。また、第1回浦昭二記念賞表彰式を行いました。富山はご承知の様に昔、売薬で有名です。冬の深い雪の中で如何に社会に役位ちと同時に生活基盤を安定させたいとの思いから起業したと思います。このような立派な富山の先人に見習うことは現代においても多いと思います。
現在、新聞には、毎日の様に人工知能、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)、車の自動運転、第4次産業革命等の言葉が見られ、同時に情報技術の進展により将来には仕事が大幅に失われる解説記事が掲載され、政府においては産業振興上の観点から情報技術の利活用、研究を推進する政策が打ち出されています。
ある意味では、上記の社会現象は日本の開国時の様に海外、特に現在は米国から技術、文化が輸入されて風靡する現象と似ている様に感じられます。インターネットが本格的に世界に普及して以来、従来のビジネスモデルは通用しなくなり大きな変革の時代に向かいつつあるのは確かであると思います。が、ここで大切なのは、過去にとらわれずに『自分自身で考え変革する』ことであると思います。
昨年、12月9日は私の好きな作家である夏目漱石100回忌でした。夏目漱石がロンドンへ留学し当時の英国で産業革命を目の当たりに体験し感じたことは、西洋はこの様に文明が進んでいる、いつか日本が追いつける日は来るのであろうかとの大きな懸念でした。また同時に、長い歴史・文化を持つ日本が西洋文明一色となるのは非常に残念であると述べています。
現在の状況が夏目漱石ロンドン留学時代と同じとは考えませんが、良く根本的に考え物事を進めて行くことがより求められていると時であると思います。当学会は、情報システム学と言う今後の社会の根本哲学につながる学問を研究・普及することを目的としています。情報技術の動向のみでなく情報、情報システムについて将来を展望したあり方を『人間中心』より追究し結果として社会の繁栄につがることを望んでいます。今年は、会員の皆様と酉の様に高い目標を目指し悠々と高く飛びたいと思います。
末筆ながら、本年2017年が皆様に取り幸せな年でありますようにお祈り申し上げます。
以上
2017年(平成29年)1月1日