一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 伊藤 重隆
皆様、明けましておめでとうございます。本年が皆様に取り良い年でありますようにお祈り申し上げます。
昨年は当学会10周年に当たり10周年事業を推進しました。5月には10周年記念式典、11月には10周年記念全国大会・研究発表大会を慶應義塾大学(日吉キャンパス)で開催し盛況の内に終了いたしました。また、その際に学会へ貢献のあった皆様へ10周年表彰状を差し上げました。10周年事業としては上記のほかに10年史を編纂し大会時にお配りし10周年記念論文については現在、選考中です。学会誌については10年の区切りとして10周年版を取りまとめました。この10記念事業推進に際し多くの皆様から寄付を頂戴しました。大変、感謝申し上げます。
学会設立から10年を過ぎ当学会の役割が今後、社会に取り益々、重要になっていると確信しております。すなわち情報システムをコンピュータ・システムと捉えず『人間活動を支える社会的仕組み』として理解することが大切であると考えます。その際には、どんな目的で、どの様な情報を、どの時点で、どの様な形で、どの位収集し、如何にして、どの組織、どんな人々に提供し、より良い社会を作っていくかが重要となります。情報技術が現在、生活の一部となっていますが、この時に忘れてはならないのは、人間中心と言う考え方であると思います。人間中心の考え方は、情報システムにおいて人間とシステムとのユーザ・インターフェース、利便性のみでなく情報システムが個人、組織、社会の目的を達成し社会として発展することにあると考えます。現在の日本の現状は、少子高齢化の進展、大幅な財政赤字、農業就労人口の高齢化、東日本大震災被災復興が半ば、気候温暖化の影響によると考えられる自然災害発生時の災害等、少し数えただけで大きな課題があります。一方、2020年に開催する東京オリンピック準備に伴う大規模予算が見込まれ、消費税増税も予定されています。しかしながら今後の経済成長率は大幅には向上しない予測となっています。一方、昨年はノーベル賞が日本人2名の方に授与された嬉しいニュースもありました。この時に感じましたのは、受賞者に共通な点は多数の事象の中から本質を抽出する継続的な思考と実行力が重要であると思いました。現在の日本の厳しい状況を変革するには、当学会が主張する『情報システムを社会の仕組みとして理解、解釈』したアプローチで本質的な研究を多く行い実践し国全体を活性化しイノベーションと生産性向上により世界のトップを目指すことが望まれます。このためには情報システムについて、日本としての考えを理論と実践により示すことが重要です。会員の皆様と共に学会活動を積極的に行い社会に貢献して行きたいと考えます。
本年は、申年です。病が去るとも言い、幸運がめぐって来る年と言えます。また、申(猿)は、状況を見てすばやく反応し的確に行動するとも言われています。世界の状況は変化が大変に速く、このため日本も大きく影響を受けることがありますが、申(猿)の良い所を見倣い良い年にしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、本年2016年が皆様に取り幸せな年でありますようにお祈り申し上げます。
以上
2016年(平成28年)1月1日