一般社団法人 情報システム学会
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2019年 山口高平会長 就任ご挨拶
一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 山口 高平(慶應義塾大学)

2019年(令和元年)5月25日に開催されました社員総会で会長候補に推薦された後、同日開催の理事会で会長に選出され、5代目の会長に就任することになりました。本学会は、副会長、理事、監事、事務局、各種委員会(新情報システム学体系調査研究、研究普及、編集、メルマガ編集、浦昭二記念賞選定、広報、基盤整備、ウェブ編集、総務、教育)により管理運営が支えられるとともに、全国大会・研究発表大会、学会誌、メールマガジン、社会への提言・貢献、シンポジウム、研究会、法人向けセミナーなど、様々な学会活動が実施され、会員の相互交流がはかられており、数百人規模の学会としては、アクティビティは高いと考えていますが、AIシステムが新たに出現し、エンドユーザレベルでAIシステムが正しく把握されない状況も続いており、AIシステムも考慮した学会活動も必要になってきていると感じています。
 すなわち、AI、IoT、ビッグデータ、セキュリティなどを中心に、世界レベルで、情報システム技術が大きく進展し、社会産業構造・人の日常生活も変わる新時代に突入したと言われますが、我が国では、その実感がまだ小さいように思われます。2018年の米国の動きを見てましょう。2018年1月、ワシントン州シアトル市で、レジのない無人コンビニAmazon GOがオープンしました。店舗内に設置された多くのカメラとセンサーにより、棚から客がいつどの商品を手に取り、また、その商品を棚にいつ戻したかを正確に認識し、店舗を出た後、自動的に課金されます。2018年8月、ニューヨーク市では、Uberなどのライドシェアアプリ運転手が8万人を超え、1万4千人のタクシー運転手の営業が圧迫されていることから、ニューヨーク市は、ライドシェアアプリ運転手数を制限する法律が施行しましたが、Uberはその処置に反発し、2019年2月、ニューヨーク市を逆提訴し、新産業と既存産業の折り合いをどのようにつけるのか、司法の判断が注目されています。2018年12月、アリゾナ州チャンドラー市では、Googleからスピンオフした自動運転車開発企業Waymo(ウェイモ)が、約5マイル(約8km)で約7ドル(約770円)という料金で、有料自動運転タクシーサービス「ウェイモワン」を開始しました。一方、中国では、京東(ディンドン、アリババに次ぐEC企業)が、天津市にロボットレストランを開始し、eクリニックヘルスケア企業「平安健康医療科技」が、証明写真ボックスほどの大きさの室内でAIを使った医療診断を受けたあと、併設された自動販売機で薬を購入できる無人クリニックを開設するなど、IT新興企業によるAI社会実装が急速に展開されています。
一方、わが国はどうでしょうか?いくつかのAI社会実装事例は見られますが、実証実験段階に留まっているケースが多い状況です。また、総合科学技術・イノベーション会議の下、人間中心のAI社会原則検討会議が発足し、欧州やカナダとの連携を模索しながら、G7、G20、OECD等の国際組織で、AIと人・社会の関係性について提言しようとしています。
当学会は、一貫して「人間中心の情報システム」を提唱してきました。AIシステムを一つの情報システムとして位置づけ、AIシステムの在り方を皆様と一緒にご議論できればと思っております。
会員の皆様、是非 ご支援とご協力を頂きたくよろしくお願いします。
以上
2019年(令和元年)6月10日

 
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