情報システムとデータ処理システムの相違
著者:佐藤 敬
「情報」と「データ」との違いは,データが一般に断片的な事実を示すのに対して,情報は発信者の意図および意味が付加されたデータであって,受信者の解釈や評価を伴うものと解釈される。したがって,情報を扱う情報システムとデータだけを扱うデータ処理システムとは区別される。情報システムはデータではなく,情報を扱うシステムであることから,人間によるなんらかの価値判断を必要とするシステムということができる。ただし,浦等による情報システムの定義にある「情報の処理」とはコンピュータ等によって機械的に行われるデータの処理も含むから,この定義の中の機械的機構を重視した「狭義の情報システム」と「データ処理システム」との境界線は微妙であり,厳密にどこまでを情報システムの範疇に含めるかを断定することは難しい。しかし,機械的機構を重視した狭義の情報システムであっても,情報の創造・利用活動,意味・意図の解釈,意思決定など人間による情報活動が何らかの形で発動されることを意味する。