一般社団法人 情報システム学会
一般社団法人情報システム学会
2010年 竹並輝之会長 ごあいさつ
一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 竹並 輝之
(新潟国際情報大学)
会長の写真
 情報システム学会は、新たに「一般社団法人 情報システム学会」として認可を受け、従来の会員、資産を引き継いで2011年度(平成23年度)から法人としての活動をスタートします。

 設立以来6年間、会員の皆様のご支援により、オンラインジャーナル(学会誌)の発行、研究・発表大会の開催、講演会、シンポジウムの開催、メールマガジンの定期配布などの活動が軌道に乗ってきましたが、さらに社会に責任ある立場として活動の幅を拡げて行きたいと思いますので、引き続きご協力をお願いいたします。

 世の中は、インターネットの活用が予想以上のスピードで進んでいる反面、国家機密情報の漏洩など思わぬ社会的問題を多発させています。情報の価値に対する見直しが求められている一方、その取り扱いについて新しい人間系を含めたシステムのあり方を議論する必要が生まれています。情報システム学会に対する期待も大きいものと思います。

 法人化されたことにより、情報システム学会は、その活動に対し社会的信用を得たと同時に、社会的責任が求められる立場になったと思います。今まで掲げてきた以下4点の活動方針に加えて、社会への発言(提言)、問題提起をさらに積極的に行ってゆく所存です。

 活動方針の第1は、情報システムが転換期(パラダイムシフト)を迎えているということへの対応です。今までの情報システムは、仕事の効率化を追求した儲けるための情報システムが主流でした。それにより経済の高度成長が達成された反面、今回のような経済不況発生の原因を作り出したとも言われています。これからは、社会を豊かにする情報システムが求められています。こうした転換期にあたって、情報システム学会では、学会の理念を「真に人間中心の情報社会を実現することに貢献すること」と定め、今年度の総会で決議しました。また、新情報システム学体系調査研究委員会を立ち上げて、こうした潮流の中で今後の情報システムのあるべき姿を追求して行こうと考えています。

 第2は、情報産業活性化への貢献です。若者のIT離れが進んでいます。IT産業は、若者にとって生涯をかけて取り組みたいと思うやりがいのある職業と思われていないのではないでしょうか。先端技術を駆使するIT業界にそぐわない、昔ながらの古い下請け体質の改善、労働環境の改善、若者への仕事の内容と面白さのPRなど取り組むべき課題はたくさんあるように思います。また、ITで世界をリードするための人材育成など教育界にも課題はたくさんあります。情報システム学会は、こうした問題の提起と改善について調査研究を行い、社会に提言して行きたいと考えています。

 第3は、情報システム開発経験の蓄積と継承です。情報システムは、理論だけでは成り立たない実務に密着した世界です。そこでは、情報システム学会が主要なテーマとしている、情報システムの企画、開発、運用、利用にかかわる人間の活動が、人間中心の有用なシステムの実現への鍵となります。情報システム学会には、企業で情報システムに長い間かかわってきたベテラン会員の方々が多数おられます。そうした方々の匠の技、情報への感性などを若手に伝承する場を提供できれば良いと思っています。若手会員の数が少ないので、増やす努力が必要ですが、講演会、シンポジウムなどを通じて若者の興味に応えるような企画を提供したいと考えています。

 第4は、学会の運営基盤の確立と会員サービスの充実です。学会運営は、その多くを会員や役員の方々のボランティア活動に頼っているのが現状です。しかし、会員数が増えるとそれにも限界があります。会員サービスを滞りなく行うために学会事務を担当する事務局のメンバーと事務所とコンピュータ設備を確保して行きます。これには費用がかかりますが、魅力的な会員サービスを充実させ、広報活動を積極的に行うことによって、賛助会員および個人会員の数を増やし、財政基盤を安定させて対応して行きたいと思っています。

 学会活動に対する、会員の皆様方の積極的なご参加とご協力をお願いする次第です。
(2010年12月19日)
 
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