一般社団法人 情報システム学会
一般社団法人情報システム学会
概要
 情報システム学会(Information Systems Society of Japan)は,人間中心の情報システムを志向し,ビジネス・研究領域の融合や情報システム人材の育成を目的とした学会です。本学会は、日本学術会議認定した「協力学術研究団体」です。
情報システム学会での“情報システム”の捉え方
“情報システム”は
あなたに優しいものですか?
あなたに有益なものですか?
あなたに何かを強いていませんか?
そして,あなたは“情報システム”を
十分に使いこなしていると実感していますか?
“情報システム”は
人間活動を含む社会的なシステムです。
豊かな情報空間をもたらします。
単なるコンピュータ応用システムではありません。
人間の情報行動を支え,発展に寄与するものです。
組織活動に柔軟と革命を与えるものです。
2020年 山口高平会長 新年のご挨拶
一般社団法人 情報システム学会 代表理事 会長 山口 高平(慶應義塾大学)

 明けましておめでとうございます。皆様にとって、本年が良い年でありますように、お祈り申し上げます。昨年は、年号が平成から令和に改められ、「即位の礼」に関する諸行事も無事終了し、新しい令和の時代が動き始めました。以下、令和時代の新しいキーワードになりうる「自動運転」を例にとり、新しい動きについて考えてみましょう。
 2020年春、我が国でも5G第5世代移動通信システムのサービスが開始されます。2010年代は、4Gによりスマートフォンで動画やチャットを楽しめるようになりました。2020年代に登場する5Gは、通信速度は4Gより100倍速く、通信遅延時間も1/10以下になると言われています。また、5G高速通信基盤上で、AI等を利用した、様々なスマート情報システムが普及していくことも予想され、その一つに自動運転があります。
 自動運転について少し説明しましょう。車の運転は、「認知」「判断」「操作」の3要素から成立しています。「認知」とは、視覚・聴覚により周辺の状況を認識すること(青信号が点滅している、人が横断歩道を渡り始めたなど)、「判断」とは、認知結果に基づき、実行すべき運転操作を決定すること(2-3秒後に交差点前で停止する、ハンドルを右に切って右折するなど)、「操作」とは、認知結果と判断結果に基づき、具体的な運転操作を実行することです(徐々にブレーキを踏む、ハンドルを少し右に切るなど)。従いまして、自動運転とは、「認知」「判断」「操作」の3要素を自動化し連携実行させることになりますが、色々なレベルがあります。レベル1と2は運転支援レベルであり、車がステアリング操作、加減速の一方か両方を支援する。レベル3から自動運転レベルとなり、限定道路(通常は高速道路)で通常時の運転操作は車が担うが、緊急時は運転手に交代し、レベル4では、限定道路のすべての運転操作を車が担い、レベル5では、あらゆる道路ですべての運転操作を車が担い、完全自動運転になります。
 2020年夏、日本自動車工業会が中心になって、羽田空港地域・首都高速湾岸線で、自動運転公道実証実験が予定されており、自動運転レベル2?4相当技術が公開される予定です。また、自動運転技術が、選手村巡回移動バス、オリンピック聖火リレーの隊列車両先導車として利用されることも検討されています。このような自動運転車がテレビなどで放映されれば、一般市民にとって自動運転車が急に身近なものになっていくでしょう。
 このように自動運転車が世の中で認知されていく予感がある一方で、自動運転車による交通事故が心配されるため、2019年12月1日、改正道路交通法が施行されました。メディアでは、現在、大きな社会問題になっている「ながら運転」の厳罰化の報道が目立ちますが、自動運転レベル3に関する保安基準が初めて明文化されたことも大きな改正点です。自動運転レベル3システムの事故責任者は、自動運転車の開発会社ではなく、自動車の運転者になることが明文化されました。また、自動運転レベル3システムは、車両の運行状況監視センサー、周囲の状況探知センサー、センサー情報処理用コンピューターとプログラム、自動運転システムの作動状況記録装置、から構成されると定義されました。しかしながら、自動運転車の安全性は、センサー情報処理システムに大きく依存します。例えば、カリフォルニア州DMV(DepartmentofMotorVehicles. 陸運局)では、2015年以降、自動運転車解除平均距離(自動運転から運転手に交代するまでの平均距離)が公開されており、Google関連会社Waymoが17847kmで1位、GMクルーズが8328劼2位、Zooxが3076kmで3位、Nuroが1645kmで4位、いずれも米国の会社です。中国のPony.aiは1636kmで5位、日本の日産は337kmで6位です。ただし、走行実験方法は、各社に委ねられ、走行コースや解除条件などは一様でないため、DMV解除レポートだけでは自動運転技術の優劣は分からないという意見もありますが、大凡の傾向は分かると思います。今後、自動運転車が普及していけば、様々な視点から、自動運転車安全性ランキングのような記事が執筆されていくでしょう。
 自動車業界ではCASE(Connected:車の接続、Autonomous:自動運転、Shared&Service:シェアリングとサービス化、Electric:電動化の頭文字を組み合わせた造語。ケース)というキーワードが登場し、自動車産業は100年に一度の大改革時代に突入したと言われます。また、2030年代には、自動運転車の市場は世界で1000兆円になるという予想もあり、米国、中国、欧州、日本の車ベンダー、大手IT企業、新興IT企業が世界レベルで競争しており、情報システムが自動車業界に大きな影響を与えていると言えます。
 以上、令和時代に、自動車業界の激変が予想されると述べましたが、他の業界でも、スマート情報システムと人の関係はより密接になり、法律面・社会面・倫理面など、多面的にスマート情報システムを考察することが重要になると思いますので、会員の皆様と一緒に議論できればと思っております。
 末筆ながら、本年、令和2年が皆様にとり、より幸せな年でありますようにお祈り申し上げます。

以上
2020年(令和2年)1月1日

 
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