情報システム学会の第3回 全国大会・研究発表大会が、新潟国際情報大学中央キャンパスにおいて、2007年11月30日(金)〜12月1日(土)に、「情報システムによる価値の創造〜地域からの挑戦〜」というテーマで開催されました。事務局が新潟国際情報大学にあることから、初めての地方大会が新潟で開催されました。研究発表は42件(昨年44件)でした。また大会参加者は165名で、内訳は正規参加者103名(昨年136)、本学の学生62名となりました。正規参加者の中で企業関係者と大学関係者の比率はほぼ半々となり、大学関係者が主体となる他の学会に比べ実務経験者の参加が多かったことは情報システム学会の特色といえます。
今回の大会では新しい取り組みとして2日間の開催を実現しました。研究発表会以外に、1日目に、学会の研究会活動の報告会、昨年に引き続き論文の作成に関するワークショップの開催、年金記録管理問題討論会、エクスカーションの実施など、初めての地方大会を成功させるために関係する理事の皆様の協力を得て内容の充実を図りました。また、2日目には特別講演を企画するとともに、研究発表の中に地域セッションを設定し、地域からの発表を積極的に募集しました。以下にそれらの具体的な内容を紹介します。
12月1日午後の特別講演は「災害と情報システム」をテーマに泉田裕彦 新潟県知事と、今井辰夫 コロナIT企画室副部長にお願いしました。新潟では平成16年の中越大震災、翌平成17年の新潟大停電、そして本年の新潟県中越沖地震と多くの災害を経験しました。災害の、救援・復旧・復興は人間活動を含む情報システムの再構築の過程でもあることから、災害対策の最高責任者としての多くの活動の指揮を執って来られました泉田裕彦新潟県知事から「社会的システムとしての救援・復旧・復興活動」に関しての講演を頂きました。また全ての災害を経験されました今井辰夫 コロナIT企画室副部長からも、「業務の継続性確保に有効な人間の活動を含んだ情報システムの開発」に関する講演をして頂きました。多くの具体事例や現場の写真等による講演内容で、特に正規参加者の7割を占めた関東地域からの参加者の皆さんに有用な講演となりました。
研究発表は12月1日の午前と午後にA〜E会場の5会場に分かれて、災害と情報システム、リスク対応、企業システム、ITと情報システム、情報システム環境、人材育成、新しいアプローチなどのセッションとして42題が発表されました。発表は,発表20分、質疑10分で、質疑の時間には活発な議論が交わされ、情報システムに関する新しい動向を参加者で共有することができました。特別講演に関連した、地域セッション「災害と情報システム/地域からの挑戦」においては、県・市・地域企業・大学の関係者のご協力により10件の研究発表を行なうことができました。充実した内容になったことからこのような研究発表活動を継続できれば新潟地域の情報サービス産業の活性化に有用であろうと考えられたことから、今後の活動についても検討したいと考えています。
また、11月30日(金)には年金記録管理システム問題討論会が開催されました。社会的に関心の高いこの問題について、既に公表された報告書の事実に基づき、パネリストの先生を始め、参加者を交えた活発な討論が展開されました。情報システム専門家の専門性と倫理、受注企業の倫理と説明責任、受発注構造とその問題点を中心にした討論となりましたが、社会保険庁自体の問題以外にも、受注企業の倫理と説明責任も大きく問われているとの議論が行なわれました。
エクスカーションには22名の申込みがありました。月岡温泉に一泊し夜遅くまで意見交換を行い、情報システム学会の今後の発展のために努力することを誓いました。翌日は天候には恵まれませんでしたが白鳥の生態観察、豪農の館(北方文化博物館)などを体験することができました。
地方大会というハンディーを考えればほぼ成功裏に運営できたものと自己評価しております。また、次回の大会に向けての知見も、一層蓄積できたものと考えています。最後に始めての地方大会ということで、大会の開催に向けて大変ご協力を頂きました理事の皆様や大学の関係者の皆様に感謝いたします。また、地域セッションの研究発表に理解と協力を頂いた県・市・地域企業・関連団体の皆様や、後援を頂いた「にいがた産業創造機構」の関係者の皆様に感謝いたします。
なお、大会の詳細は以下のURLを参照ください。
http://www.issj.net/conf/issj2007/