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(2009年12月05日 23:00更新)
B1 学生セッション 情報システムの開発
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B1-1:大学キャンパスにおける個人適応型情報通知システム
相笠直子、山口治男(東京工科大学)
【概要】大学キャンパスにおいて学生個人に伝達される情報を個々の学生がWebページによって取得するのに利便性の高いシステムの構築及び運用結果を報告する。本システムで通知する情報は、学生個人や講義受講者などの特定グループに宛てて発信されるが、全ての学生は個人に宛てて発信された情報としてこれを受け取る。通知する情報は、休講情報、呼び出し情報、教室変更情報などである。このシステムの使用により、キャンパス内の重要な情報が学生個人に確実に伝達されることが期待される。
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B1-2:企業が有する業務知識をシステム開発に活用するための知識ベースシステムの検討
亀田栄一、高木正則、望月雅光、勅使河原可海(創価大学)
【概要】システム開発において,過去に行われたノウハウが組織に蓄積されることは難しい.また,ナレッジマネージメントシステムなどのツールは,システムによって膨大な情報は蓄積されていても,知識の整理がなされていないため,有効な知識の共有や継承を行うことが難しい.本研究においては,システム開発の支援システムを,知識ベースシステムとして構築することを目指している.本稿では,知識ベースシステムの開発および保守に関する体制,知識ベースシステムの有効性について考察し,システム開発に関する指示を意図したとおりに相手に伝えることを支援する知識ベース型の意思伝達支援システムを提案する.
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B1-3:集合知を利用した知識評価システムの提案
相模英太郎、吉田富美男(長岡技術科学大学)
【概要】知識の効率的な活用には知識の評価が必要不可欠である。しかし、組織や人の持つ知識の評価は極めて高度な作業であり、基本的には人間が行わざるを得ないため時間や費用がかかるとともに客観性などにも課題が残る。そこで本研究では、客観的な知識評価を自動的に行うシステムを提案する。本システムでは、評価対象が生成した電子化情報を知識と見なしてこれをグラフ構造で表現する。同様にWeb上の電子化された情報を知識群とみなしてグラフ構造で表現し、これらの類似度合を、集合知を利用して算出することによって知識の評価を行う。
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B1-4:要約字幕作成支援システム―重要文自動抽出手法の検討―
大澤勇基、上之薗和宏、八重樫理人、三崎貴裕、榎津秀次、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】講師の発話を要約した字幕を講義の映像に字幕として付与することは、日本語初心者が講義の内容を理解する時に効果的であることが示されている.しかし,要約字幕の作成には多くの労力が必要であり,講義を担当する講師以外の人物が要約を作成した場合,講師の意図と異なる要約が作成されてしまう等の問題点があった.本稿では,意思決定法の手法を利用して,講師の発話テキストから重要文を抜粋することにより,講師の意図を踏まえた要約字幕の作成を支援する方法を提案している.
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B1-5:インタビューによる要求抽出作業を誘導するシステム〜顧客回答によって次の質問文を自動的に決定する仕組み〜
山崎 健広、埜口元、谷藤史門、山中隆敏、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】ソフトウェア開発では要求仕様書を基にシステム開発を行う.もし,要求仕様書に漏れや誤りがあれば,その後の成果物にも漏れや誤りが含まれてしまう.そのため要求仕様書を作成するための要求抽出作業は非常に重要な工程である.そこで我々は要求抽出作業をインタビュー技術と捉え,要求抽出作業を正確に行えるようインタビュー作業を誘導するシステムを構築中である.本稿ではインタビューにおける次の質問をシステムが動的に決定する仕組みについて述べている.
C1 学生セッション 新しいアプローチ
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C1-1:個人適応型Webアプリケーションシステム
丸山由佳、吉田富美男(長岡技術科学大学)
【概要】Webアプリケーションにおけるユーザ満足度の向上はユーザおよびサイト運営者にとって重要であるが,多様化するユーザのニーズを全て満足することは困難である.そこで本研究ではサイト運営者とユーザが共同してWebアプリケーションを構築するシステムを提案する.本システムでは,任意のWebアプリケーションをユーザ自身が自由にカスマイズし,その情報を分析・共有することによって個人のニーズに適応したWebアプリケーションの提供を支援する.
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C1-2:市場原理を利用したスケジューリング手法の提案
木野好貴、吉田富美男(長岡技術科学大学)
【概要】情報システムの開発では、情報システムを取り巻く環境の変化に起因する、リソースや制約の変化といった流動的な要因も多く、従来のスケジューリング手法だけで十分とは言えない。そこで本研究では、流動的な状況でも効果的な調整機能を発揮する市場とのアナロジーから、市場原理を利用したスケジューリング手法を提案する。本手法では、リソースを企業に見立て、エージェントによる市場取引を通して、柔軟性の高いスケジューリングを実現する。
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C1-3:プログラミング技術診断システム 〜文法知識の診断に向けて〜
今泉俊幸、井上悠一、橋浦弘明、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】近年,ソフトウェア開発は大規模化,複雑化している.このような状況から,企業はソフトウェア開発に必要な知識やスキルを持つ人材の育成を大学に求めている.ソフトウェア開発に必要な技術の中でもプログラミング技術は必要不可欠なものである.プログラミング技術を効率よく習得させるためには,教授者が学習者の理解状況(欠陥)を正しく把握する必要がある.しかし,プログラミングは目的に対し無数の解が生じるため,学習者にどのような技術が不足しているかを判断することは難しい.また,一般に学習者は教授者よりも人数が多いため,教授者の手間の面からも困難である.本稿では,自動的にプログラミング技術の欠陥を診断する方法を示す.
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C1-4:テストケースの実行パス分析に基づくテスト効率の評価指標の提案
八巻奈々恵(芝浦工業大学)、櫻井孝平(東京大学)、橋浦弘明、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】テストカバレッジに関する現行の基準では、個々のテストケースの重複を測ることは出来ない。入出力が異なるテストケース同士であっても、テストケースの働きとしては同値になる(重複している)場合がある。重複した単体テストケースが多くある場合、たといカバレッジが高くても同値分割などがうまく実施されておらず、テストケースの効率評価としては適切ではない。本研究では、テストケースの実行パス分析を行い、実行パス数をテストケース設計作業の効率の評価指標として用いることを提案する。
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C1-5:それぞれ別のプロジェクトに属する作業間での優先順位の自動設定
小坂 祐也(芝浦工業大学)、木下 大輔、内川 裕貴、古宮 誠一(芝浦工業大学大学院)
【概要】複数のソフトウェア開発プロジェクトに従事する作業者は,それぞれ別のプロジェクトに属する作業間での優先順位を設定し,時間を配分して作業を進める必要がある。しかし,作業の優先順位の決定には多大な労力がかかり,確認漏れや考慮不足によって優先順位を間違える可能性もある.そこで本稿では,作業者が従事するプロジェクトの開発計画から必要な情報を自動的に抽出し,各作業の優先順位を自動的に設定する,作業優先順位自動設定システムを提案する.
D1 学生セッション 情報技術と応用
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D1-1:2DペイントとWiiリモコンによる直感的3Dお絵かきシステムの開発と研究
鈴木昭弘、和嶋雅幸(北海道工業大学)
【概要】3DCGは近年、ゲーム・映像など多様なメディアで広く用いられている。それに伴い3DCGソフトは高性能になり、効率よく3Dモデルや特殊効果を作成できるようになった。しかし直感的に操作できる3DCGソフトはとても少なく、入門が難しいのが現状である。そこで、まず、「一般的なモデリング」を「2Dの紙を3D空間上に自由に配置し、お絵かきをする」という操作に置き換える。そしてWiiリモコンを補助デバイスとして用いることにより、3D空間上での直感的な操作を実現するシステムを紹介する。これにより初心者や子どもをはじめ、多くの人が3DCGに親しめるシステムを作成できる可能性がある。
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D1-2:オブジェクト指向プログラムの信頼性向上のためのカバレッジ基準の提案
花本洋平(芝浦工業大学)、櫻井孝平(東京大学)、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】オブジェクト指向言語で開発されたプログラムでは,ポリモーフィズムによって分岐網羅の基準が実際の分岐を反映しなくなるため,分岐網羅のテストカバレッジが100%であっても十分に分岐をテストしているとは言えない.本研究では新しい分岐網羅基準を提案し,その基準に基づいたカバレッジを取得するためのツールを開発することでオブジェクト指向プログラムの信頼性を向上させることを目的とする.また,有用性についてはオープンソースソフトウェアに対して実験を行うことで検証する.
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D1-3:制約付き組合最適化問題としての漢詩推敲過程
余 慕農、古宮誠一(芝浦工業大学)
【概要】本研究では、組み合わせ最適化問題の研究対象として漢詩を取り上げ、工学的な解決方法を研究して行く。これは漢詩の特徴として「文字数が少なく、かつ制約が多い」があり、工学的に研究材料として最適だと考えられるからである。
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D1-4:通信経路を論理的に隠蔽する匿名通信方式
大浴寛之、吉田富美男(長岡技術科学大学)
【概要】情報システムが日常生活に浸透するにつれて, 情報システムを介したコミュニケーションにおける匿名性の確保も重要な課題の1つとなってきている. しかし従来の匿名通信方式は基本的に通信経路の複雑化によって匿名性を確保しているため, 経路上の管理者などが協力すれば送信者と受信者を特定する事が可能である. そこで本研究では, 通信経路を論理的に隠蔽することにより, 送信者が協力しない限り匿名性が損なわれない方式を提案する.
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D1-5:不得意分野を中心に学習者に学習させるCAIシステム ― 教材作成支援方法の検討 ―
橋立 真理恵(芝浦工業大学)、上之薗 和宏、金子 真也、橘 知宏、佐藤 彰紀、古宮 誠一(芝浦工業大学大学院)
【概要】現在,不得意分野を中心に学習者に学習させるようなCAI(Computer Assisted Instruction)システムの構築を目指している.しかし,不得意分野同定のためには大量の設問を用意する必要があり,それらの設問をデータ化するには教材作成者にXMLなどの教材知識以外の知識が必要である.本稿では,XMLなどの教材知識以外の知識がなくても,設問データ作成を作成できるように支援する方法を検討したので,その結果を報告する.
A2 一般セッション 情報デザインと情報の意味
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A2-1:パターン指向開発プロセス再構築
河合昭男(オブジェクトデザイン研究所)
【概要】大規模ソフトウェア開発プロセスRUPやXPなどアジャイル系と呼ばれる短期小規模開発プロセスは過去の様々な個人・組織の経験・試行錯誤を通して得られた知見からなるプラクティスをベースにして構築されたものである.これらのプラクティスはそれぞれ開発上起きる問題の解決策であり,パターンとして捉えることができる.パターンから構築された既成のプロセスをカスタマイズして開発現場で使用するのではなく,各プロジェクト利害関係者が共有する価値と基本原則に基づく最適なパターンを抽出し固有のプロセスを作るのが本来あるべき姿である.そのために,パターンを知識ベースとして登録・検索・活用できる仕組みにアレグザンダーのパターン言語の技法が適用できないだろうか.本稿はそのアイデアを述べるにとどまる.
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A2-2:ソーラー・システムの長構造と重力の情報システムについて
林 大雅、林 佐千男(長構造研究会)、田中敏幸(慶應義塾大学)
【概要】太陽系での小惑星の自転周期と太陽の自転周期との共鳴関係を示す音楽情報モデルとHH(仮想フラフープ)数理モデルについて、物理的な意味付けを考察したい。 尚、音楽情報モデルとHH数理モデルは、太陽の自転周期と惑星の公転周期や惑星の自転周期との共鳴関係についても当て嵌まる。
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A2-3:デザイン部門の事例に見る「非定量的業務」BPRの可能性
中村 崇、瀬尾明志(日本ユニシス)
【概要】デザイン業務は製造業のバリューチェーンの上流に位置し、そのアウトプットは製品の価値に大きな影響を与える。しかし、「デザインの良し悪しは定量化しにくい」「仕事の中身はケースバイケース」という、いわば「非定量的業務」であることから、デザイン業務は組織的なプロセス改善の対象とされにくかった。しかし、そのような業務にも何らかのプロセスがあり、BPR(Business Process Re-engineering. 業務プロセス改革)を行なう可能性が存在する筈である。
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A2-4:集合知相互運用のためのコンテンツ公開標準化技法および連想検索技法の研究
グローマン ヒロスケ(Telecommuting-Lab.)
【概要】集合知としして、積極的に知材を共有するためには、その公開と交換のための誰もが活用できるインターフェースとプロトコルが広く公開されていなければならない。本研究では、そのための具体的なインターフェースおよびプロトコルの提案と、知材の所在を容易に知るための検索の方法論について論じる。
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A2-5:大学一般情報教育の基礎とする情報概念
桑原尚子(東京大学)
【概要】本稿は大学一般情報教育において基礎とすべき情報概念を検討した.情報教育の基礎とする情報概念は、シャノンのコミュニケーション・モデルにおける客観的実体としての情報という捉え方を脱し、基礎情報学の情報を「生命体の意味作用」と捉える情報概念を採るべきであると考える.このシャノンから始まって基礎情報学に至るまでの情報概念に関係する理論的継承を、サイバネティクス、ベイトソン、オートポイエーシス、そして基礎情報学と辿った.サイバネティクスにおいてメカニズムを解析するという方法が提示され、それを受けてベイトソンが知覚、意識、精神を情報変換回路として捉え、オートポイエーシスは作動のネットワークとして生命体をとらえ、情報は外部にあってそれを取り込むという考えを否定した.
B2 一般セッション ビジネスと情報システム
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B2-1:企業情報システムの全体最適化のマネジメントに関する一考察
依田祐一((情報通信総合研究所)
【概要】本論文では、事業の多角化やグローバル化を展開している大企業の情報システムとそのマネジメントに着目する。実務的な問題意識である企業情報システムの全体最適化について、情報システム部門の組織形態及び組織間関係に着目し、経営学の関連理論のレビューを通じて、理論が示唆する点と理論的な問題の所在を明らかにする。 大企業において、多角化やグローバル展開の際に事業間の情報システムを全体最適化することが共通的な経営課題となっている。企業の経営戦略や経営課題への対処方法を理解する手段として、組織構造を分析することにより当該企業の経営戦略の一端が明らかになると考えられるが、企業ごとに多様な情報システム部門の形態(内部化、機能分担会社・子会社、ITベンダーとの資本提携、ITベンダーへの包括アウトソーシング等)があり、この形態を分析する十分な枠組みが無い中において、組織形態等を選択している現実があると捉えている。筆者はこの共通的な課題に対して、経営戦略の有効性を検討する分析枠組みが求められていると考えている。経営者がどのような視角からこの課題を捉えることが有効であるか、有益な示唆を与えてくれる分析枠組みである。 この課題は、主に経営戦略論に端を発しつつも事業システム論、組織間関係論を射程に入れた内容と想定している。本論文では、主要な関連理論として、取引コスト/資源依存/協同戦略/資源ベース/学習の5つのパースペクティブを簡潔にレビューし、本テーマの検討に有効な基礎となる理論枠組みについて提案する。
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B2-2:企業における事業継続の取り組み事例ー日本ユニシスの場合ー
多田 哲、柏木直哉(日本ユニシス)
(2009-12-05)
【概要】日本ユニシスグループでは,2006年社内のBCPプロジェクトを立ち上げた.リスクとして関東地区大震災に加え,新型インフルエンザが企業活動に与える影響は甚大であるとの判断より,2007年からはBCPの対象に加えることとした.本稿では企業におけるBCPの必要性と対策について記述,さらに,新型インフルエンザについて解説,企業として想定できる対応策を述べた.BCPについては組織変更や環境変化を踏まえ,継続して見直していくことが重要であり,BCM(事業継続管理)へと移行していくことが必要と考えている
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B2-3:オープンソースソフトウェア開発とコミュニティ
河合勝彦(名古屋市立大学)
【概要】近年,オープンソースソフトウェア(OSS)開発に積極的に関わる企業が増加している.従来は,コミュニティベースでの開発が中心であったOSSにおいて,営利的企業の積極的参画はどのような影響を与えているのだろうか,そして,それは双方にとってどのようなメリットがあるのだろうか.さらに,企業とコミュニティがどのような関係を築きつつあり,今後どのようなビジネスモデルが構築可能なのかを,主に経済学的な視点から考察する.
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B2-4:情報システムの形態と構造についての考察
伊藤重隆(みずほ情報総研)
【概要】現代の情報システムは社会の進歩により複雑となっている。企業情報システム構築の経験から情報システムの原点を形態と構造を基本として検討する。
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B2-5:情報資源管理統合方法論の一考察
松平和也、市川照久、水野忠則(静岡大学)
【概要】情報資源管理とは,経営管理の一機能である.企業における,人事管理(Man),資金管理(Money),資材管理(Material)という3つの基本経営管理機能と一線に並ぶべき常用機能である.しかしながら,情報資源管理はIT専門家のみが使う用語として,情報システム部門内部での開発運用に関わる管理機能とされている.本論では,情報資源管理の経営に於ける正しい位置づけを提起し,激烈な競争環境にある現代経営者の最も頼りにすべき経営合理化へのアプローチであることを主張するものである.
C2 一般セッション 社会システム
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C2-1:技術標準モデル(TRM:Technical Reference Model)の活用
井手達夫(早稲田大学大学院)
【概要】 本論は、まず民生品の特質を軍用品との比較の上で明らかにする。次に技術標準をアーキテクチャーフレームワークの枠組みの中で位置づけ、その意味を明確にする。最後にその活用が、行政と防衛、民と官におけるICT調達基盤の規範を構築することで、我が国のICT産業の振興させる可能性について考察する。
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C2-2:情報システムの観点から見た自治体広聴制度の電子化
本田正美(東京大学)
【概要】e-Japan戦略の策定以来、日本政府は政府の電子化を進め、その動きは自治体にも広がっている。自治体においては、電子化に向けた各種の取り組みがなされており、市民の声を集めるための広聴制度についても、webサイトを利用するなど、電子化が進められている。本発表では、情報システムの観点から広聴制度を整理・分析し、その分析を前提として広聴制度とwebサイトの関係について論じることを通して広聴制度の効果的な電子化のあり方を示す。
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C2-3:著作権の相続
田沼 浩(駒澤大学)
(2009-12-05)
【概要】システム会社の事業承継や開発した情報システムの権利の帰属を考えるとき、著作権の譲渡や利用許諾だけでなく、個人がプログラムの著作権や特許権を持っている場合、どうしても相続の問題が発生する。今回は財産権としての「著作権の相続」について考察をまとめた。なお、本論文は経済産業省の外郭団体 財団法人デジタルコンテンツ協会の報告書「ネットワークにおけるデジタルコンテンツ取引流通フレームワークに関する調査研究」に掲載されたものである。
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C2-4:Webベースの学力テスト分析システムの構築と評価
森薫、木幡敬史、玉村雅敏、嶋津恵子、金子郁容(慶應義塾大学)
【概要】昨今,教育水準の向上を目的として学校評価・学力調査が推進され,その活用方法が注目されている.文部科学省による全国規模の調査だけでなく、地方自治体独自の調査も活発に実施されている。しかし、自治体が独自に実施する学力調査では、データの集計は学校教員と教育委員会の負担となり、そのコストが大きなものとなっている。我々は学力調査結果の迅速で効率的な集計と活用のため,学校教員自身がインターネットを利用して採点・データ登録・分析をするシステムを構築した.本稿では,構築したシステム,および,岩手県で運用したシステムの教員による利用状況について報告する.
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C2-5:市民グループのWeb利用を促進するオンラインコミュニティスペースの設計と検証
松本早野香、横井茂樹(名古屋大学)
【概要】既存のWebサービスには個人向けや大規模組織向けのものが多く,また,NPO等市民グループを対象としてWebの利用を促進する試みも少ない.そこで本研究では,市民グループを対象として,彼らがWeb上で容易に情報共有・情報発信することのできるコミュニティサイト「e-市民ひろば」を提案し,地域コミュニティ14団体による三ヶ月程度の利用実験から,その有効性を検証する.実験に参加した地域コミュニティにはWebサービスの利用経験者が少なく,PCスキルも比較的低かったにもかかわらず,ほぼすべての団体が利用できたこと,半数以上の団体が定期的に記事をアップしており,利用状況や実験後の利用意向などから、その有効性を明らかにした.
D2 一般セッション 情報システム教育の改善
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D2-1:中小企業のITキャリアパス ケーススタディ
牧野典彰((株)エクスライズ)、駒井忍(ネットマークス)
【概要】IT の業界においても近年多様化,複雑化している顧客ニーズに応えていくためには,会社の得意分野を見定めつつ,ニーズに柔軟に対応できる戦力を充実させる必要がある.零細企業である弊社でも,戦力=人材の育成には日々試行錯誤を繰り返している.そのため昨年はITSS 評価を取り入れたキャリアフレームワークの構築を試みた.しかし,それだけでは弊社の企業活動には不十分であった.今回は不足していた「リーダー層の育成」と「育成方針と実業務の整合性」の視点から再点検を試みたい.
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D2-2:J07-ISのラーニングユニットを活用する授業展開について
松永賢次(専修大学)、神沼靖子( )、宮川裕之(青山学院大学)
【概要】情報処理学会から情報専門学科におけるカリキュラム標準「J07」最終報告(2008.3)が発表され,その成果の活用が始まっている.大学の既存の学科においては,教育カリキュラム全体をJ07に準拠させることは困難である.筆者らは,教育カリキュラムあるいは一つの科目の内容を,情報システム領域のJ07-IS教育カリキュラムのラーニングユニット (LU)を活用することで,段階的にJ07-ISの考え方を取り入れる方法を研究している.専修大学ネットワーク情報学部での実践に基づきその方法について報告し,考察する.
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D2-3:ITSSとJ07IS-LUの相互参照について
神沼靖子( )、宮川裕之(青山学院大学)、松永賢次(専修大学)
【概要】近年,大学における情報系専門教育と産業界が必要とする人材育成の連携がマッチしていないという問題が指摘されている.2007年度にJ07-ISモデルカリキュラムが情報処理学会から発表され,2008年10月にIPAは「ITスキル標準V3 2008」を公開している.そこで本研究では,これらの最新情報を踏まえて,大学の情報システム(IS)教育と産業界の人材育成との連携可能性について分析し,教育システム設計における課題とその改善について検討した.その改善案の一つとして,J07-ISのコアとなるラーニングユニット(LU)と ITSS・UISSとの相互参照テーブルの作成を提案し,関連性を可視化したので報告する.
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D2-4:情報産業への進路設計と知識・スキルについて
宮川裕之(青山学院大学)、神沼靖子( )、松永賢次(専修大学)
【概要】学生は科目の履修計画において進路設計の視点を重視する傾向があるが,情報関連の仕事に必要な知識とスキルを理解して効果的な履修計画を進めている教育機関は少ない.本研究では,情報産業への進路に必要な情報に関する検討結果から,大学の情報システム(IS)教育カリキュラム(J07-IS)のラーニングユニット (LU)とITスキル標準(ITSS)及び情報システムユーザスキル標準(UISS)の相互参照テーブルを活用することの有効性を示し,相互参照テーブルを利用した学生の履修指導と進路指導を効果的に実施する方法を提案する.この方法にはカリキュラムの設計,シラバスの作成,学生の履修計画と指導,進路設計と指導が含まれる.
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D2-5:情報システムによる価値の創造へ、産から学へ協生の一つの形〜研究者支援システムの紹介〜
飯塚康至(エイシーエル/明星大学)
【概要】株式会社エイシーエル(以下、エイシーエル)では、叡知創発をテーマに、インターネットを中心にした情報システムを構築し、新たな価値を創造する情報インフラを提供している。そのサービスの一つとして「みんなの研究生活P-Lab(1.0)〜WebでLaTex〜」(以下、P-Lab)というサイトを開設した。P-Labは研究者の研究活動を支援するためのサイトであり、我々はこのP-Labが産から学への協生の一つの形であると考えている。P-Labでは価値創造のために、1)論文執筆環境、2)研究業績管理環境、3)参考文献管理環境を提供している。また研究者間の創発を促すためのコミュニケーション機能を提供している。これらの機能はWeb2.0アプリケーションで提供さディスクトップアプリケーション並みの使い勝手を目指している。本稿では「情報システムによる価値の創造」の事例としてP-Labを紹介する。
E2 一般セッション 情報システムの開発
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E2-1:反復型手法の知財化プロセスへの応用
(2009-12-05)
福島祐子、瀬尾明志(日本ユニシス)
【概要】弊社ではコンサルティングサービスで作成したモデルを蓄積し,利活用することにより質の高いサービス提供を目指している.モデルを後のサービスで活用するには,知財化作業を実施してモデルの質を高める必要がある.しかし,限られた期間・コストの中で質の高い知財を作成するには,早い時期からの品質レビューの実施,品質のばらつきの防止が求められる.この要件を満たすために,システム開発ですでに考案されている反復型手法を応用した知財化プロセスが有効であるという仮説を立てた.反復の期間ごとに品質レビューを実施し,レビュー結果を確実に次の反復作業にフィードバックする.実際の知財化プロジェクトに適用することによりこのプロセスを検証した.プロジェクトは計画通りに完了し,また,高い顧客満足度を得られたことから,このプロセスは有効であるという結論を得た.
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E2-2:情報システムの障害事例からみた要求定義の品質向上施策
榎木浩(兵庫大学)
【概要】情報化社会の重要な役割を担う情報システムは安全性、信頼性、頑強性が強く求められが、近年の情報システムではさまざまな障害が発生している。その原因は技術的、人為的あるいは組織的問題がほとんどであるが、特に情報システムの要求定義が困難で不十分であることが挙げられる。本論文では、最近の情報システムの障害事例から要求定義における問題を明らかにし、要求定義の品質を向上させる手法を考察する。
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E2-3:Staleholder分析手法の比較報告:CVCA vs. OnionModel
嶋津恵子(慶應義塾大学DMC)
(2008-12-04, 2008-12-10,2009-12-05)
【概要】最近の報告によると,情報システム構築プロジェクトの失敗の原因は,Veeモデルで表現されるシステムエンジニアリングの左辺の最上位に位置する要求獲得にあると考えられている.そこで,近年発表が相次いでいるステークホールダ分析手法を試用し,効用を検討した.直感的に扱えるもの(CVCA)と,網羅性高くかつシステマティックにステークホールダを抑えられるもの(OnionModel)を採用した.今回の試みでは,CVCAの導入は容易であったが,重要な(サービス仕様を決定するのに注目すべき)影響を与えるステークホールダを見落とした.一方,OnionModelの採用に際し,利用方法の習得にリードタイムを要した.今後情報システムやソフトウエアの構築プロジェクトにおける十分な実証検証と,改良が必要だと思われる.
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E2-4:生体(指静脈)認証技術を用いた出席管理システムの開発
佐々木桐子(新潟国際情報大学)、佐藤徳子((株)システムサポート)
【概要】出席管理は,学生に自己管理能力の重要性を認識させるだけではなく,長期欠席者を早期に発見し,退学者を未然に防止するという意味でも,有効かつ有用である. そこで,これまで実践してきた,マークシート,学生証による出席管理方法にも触れながら,2008年9月より本学情報システム学科の750名を対象に行っている「指静脈認証による出席管理システム」に関して解説をする.
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E2-5:短期開発に対応した要求管理の実現方法と課題
萩谷有紀、原 潔(日本ユニシス)
【概要】システム開発期間が短期化する状況において,顧客のニーズを適切に把握し実現していくためにはそれに適した要求管理を実施していく必要がある.実際の案件の状況分析から,短期開発に対応した要求管理を行う上での課題を導き出し,要求管理ツール利用の利点と留意点をまとめるとともに,その課題解決のために試行した要求管理アプローチを報告する.
X3 特別セッション 産学協生
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X3-1:研究インターンシップの課題:企業側産学連携業務を通して
池川隆司(NTTサービスインテグレーション基盤研究所)
【概要】大学に所属する学生が,企業・NPOなどで研修する研究インターンシップは,重要な産学協働活動の一つとして位置づけられている.研究インターンシップを経験した大半の学生からは「事業貢献に資する研究の取り組み方,PDCAサイクルに基づく研究の進め方を体得でき,今後の研究活動に役立った」などの好意的な感想を頂く.その一方で,研究インターンシップを取り巻く環境の変化に伴い幾つかの課題が顕在化しつつある.本稿では,企業側窓口として研究インターンシップのコーディネイトに関わった経験を基に,これらの課題の一端を言及する.
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X3-2:人材育成におけるオープンソースの意義
瀧田佐登子(有限責任中間法人Mozilla Japan)
【概要】近年、企業や大学などにおいてエンジニアの人材育成に対して様々な取り組みが行われている。平成18年度文部科学省「先導的 IT スペシャリスト育成推進プログラム(以下ITSP)」のプロジェクトに参画した立場から、人材育成においてオープンソースプロジェクトの意義を Mozilla のオープンソースプロジェクトとインターシップの実例をもとに解説する。また、現在、海外で行われている大学との取り組みを紹介する。
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X3-3:Innov8: ビジネスプロセスモデリングを教えるための3次元ゲーム
丸山宏(日本IBM基礎研究所)
【概要】Innov8は、ビジネスプロセスモデリングを教えるための3次元ゲームである。本稿では、Innov8を実際の大学院教育で使った経験をもとに、教育におけるゲームの役割について議論する。また、様々なビジネスシーンにおけるゲームの役割についても議論する。
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X3-4:実践知としての情報システム教育を考える 〜中堅社員向け研修プログラム企画開発実施の実例とデザイン・コンセプトから〜
小林義人(エム・スクエアー株式会社)
【概要】筆者は、本学会人材育成委員会活動報告書「情報システム分野における人材育成への取り組みの基本的考え方」に提示した基本コンセプトに立脚して、自身の職務分野に該当する中堅ビジネスマン向けの研修プログラム「問題感知力を磨くための“問題解決手法勉強会”(以下「本勉強会」)」を企画開発し実践してきた。アーキテクチャは「プロジェクトベース・方法知・チームビルディング・言語技術」の4点を柱とする。どのような現状認識、狙い、意味合い、基礎的考え方に基づき考案したか、その実際効果について以下に述べる。
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X3-5:登壇者のパネル
池川隆司、瀧田佐登子、丸山宏、小林義人、山本喜一(コーディネータ)
B3 一般セッション 情報システムの新しいアプローチ
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B3-1:パーザ構築法の活用による柔軟なデータ処理の実現に関する検討
前田和昭(中部大学)
【概要】XMLで記述されたデータを処理するときには,DOMや SAXなどの決まった手法を使うのが通例である.しかし,システム構築時にデータ処理の手法を一度決めると,その手法に固定されてしまい,他の場面で使いづらくなることが少なくない.そこで本稿では,コンパイラにおけるパーザ構築の経験を踏まえ,柔軟なデータ処理を実現することについて検討する.
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B3-2:ITサービス継続マネジメントの外部環境に係わる考察
渡辺研司(長岡技術科学大学)
【概要】企業の事業継続の重要な部分を担う、ITサービス継続マネジメントについては、先日、経済産業省からもガイドラインが公開されたばかりであるが、実際には「どこまで、何をすべきか」というインセンンティブを個別企業が持つまでには至っていない。本発表では、そのインセンティブとなる可能性のある、英国における第三者認証制度の開発状況や、米国金融業界で開発中の成熟度モデルを俯瞰しながら、ITサービス継続マネジメントの外部環境における論点の整理を試みる。
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B3-3:プロジェクトマネジメントの進む方向−建設のプロジェクトマネジメントから学ぶ−
鹿島鉄雄(国士舘大学)
【概要】IT産業の歴史は短い。一方建設産業の歴史は非常に長い。プロジェクトマネジメントの歴史も同様である。そこで建設のプロジェクトマネジメントとITのプロジェクトマネジメントと比較をしてみた。そこで職業の精神、開発工程、プロジェクト体制、顧客管理、開発見積もりなどについての違を述べ、ITのプロジェクトマネジメントの進むべき方向を提言する。
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B3-4:検索結果の年表表示に関する考察
奥村祐介、嶋津恵子(慶應義塾大学DMC)
【概要】インタネット上の情報爆発状態と検索エンジン開発競争の背景を受け、検索結果を年表上へ表示するシステムを設計開発した。特徴的な機能は"コンテキストや目的に合致した日時表現の抽出/生成"と、"コンテンツの内容を直感的に示す"ヘッドライン"の生成の2である。本書は、これらの実装方法と、システム全体の構成を示す。
D3 一般セッション 人材育成
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D3-1:シニア初心者のための文字強調シールと文字入力テキストを用いたパソコン文字入力学習
山内章恵(日立マネジメントパートナー)、横井茂樹(名古屋大学)
【概要】シニアのパソコン初心者がパソコン学習で壁になっているのは、キーボード操作を覚えることである。そこで、シニア初心者のキーボード学習を支援するためにキートップに貼る文字強調シール、キーボードからの文字入力の教科書を作成した。本論ではそれらを使って行った講習会と学習前後の文字入力速度を計測した結果を報告する。
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D3-2:組織改革のための「人間力」重視の相互支援プロセスと人材育成―品質カルチャー構築のためのプロセス改善―
関 弘充(富士通(株))
【概要】品質カルチャーの高い組織への改革を実現するためには,部門の設立や制度に依存するだけでなく,システム開発に従事する一人ひとりの「人間力」に光を当てなければならない.何故なら,部門の設立や制度の強化には企業の「意志」は存在するが,社員の「意志」が存在しないからである.したがって,「わくわく」感にあふれた品質カルチャーの高い組織を早く実現するためには,「人間力」重視の組織的プロセス改善を,社員の「意志」として開始しなければならないのである.互いにエールを送り合う相互支援土壌の形成と組織と仕事の境界を越えた相互支援プロセスの構築が,社員の「意志」を伴った組織改革を実現するのである.
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D3-3:企業における情報システム論文執筆取組の事例とその課題
小林享子、原 潔(日本ユニシス)
【概要】情報システムの構築・活用に関するノウハウを共有し、技術者の技術力向上とビジネスへの貢献を目指して行われている企業内での論文執筆の取組みを紹介する。論文執筆を推進していく上での問題を、「ライティング技術の問題」と「執筆の動機付けの問題」の2点から論じる。そして技術者が企業内において論文を書くことの意味を検討し、その課題について論じる
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D3-4:産業界からの論文投稿を促進する支援方策に関する考察
小久保幹紀((株)システムフロンティア)
【概要】情報システム開発の構築・活用に関わる人材の知識・経験の蓄積としての論文促進の意義が指摘されている.しかし,情報システムの構築業務の一環として,または知識・経験の振り返りとしての論文作成が行われることの難しさも指摘されている.一方で,情報システム研究モデルの研究や論文を促進するための活動が行われていたり,業務経験を学術論文に展開する方法も提案されていたりしている.本稿では,研究プロセスに着目して研究および論文作成に関わる活動上で問題について情報要求を検討し,研究活動を始めようとする実践者を対象にした産業界からの論文投稿を促進する支援方法を提案する.
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D3-5:IT系企業が求める若手層の人事像と段階的育成
青木美代子、松浦 昌明(日立インフォメーションアカデミー)
(2008-12-04, 2008-12-10)
【概要】IT系企業において高付加価値を顧客に提供するためには、技術系社員のキャリアアップが重要になる。キャリアップはITSSの職種間の移動として実現する。しかし、社員が中堅層になり職種変更が必要となる段階で、職種間移動に対応するには育成が不十分な事が多い。本論文では、将来のキャリアップを視野に入れ、入社5年目の若手層に求める人材像を明確にし、これを実現するための段階的育成について述べる。