「孫子」や「兵法三十六計」などの戦略を説いた本は、根強い人気がある。その理由の一つは、これらの戦争で用いた戦略や戦術が、現在のビジネスの世界でも使えるのではないかという想いがある。実際、現在の著名な経営者の中には、これらの戦略本を座右の書として、経営戦略を立案する場面で活用している人が多いと聞く。
女子高生を主人公にした入門ビジネス小説シリーズの第四巻として、上梓させていただいた本書では、「戦略論を現代のビジネスに活用する」という視点で執筆させていただいた。
今回取りあげている戦略論は、戦争の戦略論として有名な「孫子」やランチャスターの法則、ナポレオンの第四列戦略などの戦争での戦略から、マイケル・ポーターの「競争の戦略」まで、戦争の戦略に限らず幅広い戦略や戦術に関わる理論に触れている。
入門ビジネス小説という性格から、取りあげた戦略論のくわしい内容までは記載できていないが、その代わりに女子高生社長ちえが活躍するストーリーの中で、それぞれの戦略理論がどのような問題に対して適用され得るかを、企業経営に経験のない読者にとってもわかりやすく理解できるように記述させていただいた。
とくに今回は、今日の日本の製造業が直面している「中国ほか新興国メーカー台頭の脅威」を背景に、ストーリーの中でこの脅威にいかに対応していくかを、読者の方と一緒に考えていく内容とした。これから経営層を目指す若手中堅社員の方や、経営戦略に興味のある経営者の方に、お読みいただければ光栄である。
著者紹介:大妻女子大学短期大学部教授、経済学博士、経営コンサルタント、株式会社KAINOSHO代表取締役。
以下、本書からの抜粋。
【目次】
プロローグ ちえの修学旅行はシンガポール
第1話 南の国で教わった「桶の法則」
第2話 ちえの旅行みやげから、ひと騒動!
第3話 海外で商標を守るの、大変
第4話 いま、会社、どうなってるの?
第5話 「金のなる木」が、そろそろ寿命!?
第6話 みんな、危機意識、足りないみたい
第7話 国内の営業が、じつは大ピンチ!!
第8話 情報は現場にあり
第9話 経営学は、お好み焼きのあとで
第10話 戦略タスクフォースが発進
第11話 経営戦略、三つの道
第12話 戦略を決めるのって、責任重大ね
第13話 ちえ、「差別化戦略」を決断!
第14話 ちえが「孫子」から学んだこと
第15話 大作戦、ついにスタート
第16話 ちえ、ヨーロッパへ飛ぶ
第17話 「兵法三十六計」に、ヒントが
第18話 ちえ、一気に攻勢に転ずる!
エピローグ 戦術・戦略なしのビジネスなんて!
【本書でわかるビジネス用語の一部】