情報システム学会 メールマガジン 2012.3.25 No.06-12 [8]

連載 著作権と情報システム 第36回

司法書士/駒澤大学 田沼 浩

1.著作物

[3] 文化庁案「著作権審議会第六小委員会(コンピュータ・ソフトウェア関係)
       中間報告」(28)

「中間報告の結論」著作権法におけるコンピュータ・ソフトウェアの保護の問題に関する対策
6.プログラムの利用者のための複製権等の制限
 プログラムの実行、保存のための複製、翻案ができるように、プログラムの複製物の正当な所持者がそれらの行為できるように次の規定が加えられた。
第四十七条の三 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これに より創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、 この限りでない。 2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなった後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。
 ただし、この規定はプログラムの公正な利用の確保という意味であり、法を逸脱した複製や翻案は認められていない。

7.プログラムの強制許諾制の取扱い
 プログラムの強制許諾はプログラム作成者の保護という観点から認めにくいため、本報告では慎重に検討すべきものとしている。ただし、著作権という独占権をどこまで認めるべきかという問題はある。特にソフト産業の発展を考えた場合、一定の金銭をもって利用許諾を認めるような制度設計は検討する必要がある。

引用・参照文献
著作権法概説第13版、半田正夫著、法学書院、2007年
著作権法、中山信弘著、有斐閣、2007年
ソフトウェアの法的保護(新版)、中山信弘著、有斐閣、1992年
岩波講座 現代の法10 情報と法、岩村正彦、碓井光明、江崎崇、落合誠一、鎌田薫、来生新、小早川光郎、菅野和夫、高橋和之、田中成明、中山信弘、西野典之、最上敏樹編、岩波書店、1997年