「中間報告の結論」著作権法におけるコンピュータ・ソフトウェアの保護の問題に関する対策
5.プログラムの翻案の明確化
繰り返しになるが、二次的著作物を創作するため、その原著作物を利用するための権利を翻案権という。他の著作物と同様に、プログラムのアルゴリズム(わかり易く書くと、プログラムの発明的な要素)を著作権法は保護しない。このことから、プログラムからアルゴリズムを解析して、改良プログラムを作成すれば、新たな著作物となる。検討すべきものとはなったものの、結局、中間報告では解釈指針などの必要な措置を講ずることが望ましいとしながらも、法律改正にまで至っていない。その後、ハードウェアと関連性があれば、一部のプログラムのアイデアも特許(ソフトウェア特許)が認められるようになった。そのため、プログラムの翻案について、議論されることは少なくなっている。一方、オープンソフト、フリーソフトなど著作権を留保した形で翻案を認めるような動きも活発化している。YouTube やニコニコ動画など、二次的著作物の議論の中心はコンテンツであるが、プログラムの翻案についても、今後、法整備が求められる可能性はある。
引用・参照文献
著作権法概説第13版、半田正夫著、法学書院、2007年
著作権法、中山信弘著、有斐閣、2007年
ソフトウェアの法的保護(新版)、中山信弘著、有斐閣、1992年
岩波講座 現代の法10 情報と法、岩村正彦、碓井光明、江崎崇、落合誠一、鎌田薫、来生新、小早川光郎、菅野和夫、高橋和之、田中成明、中山信弘、西野典之、最上敏樹編、岩波書店、1997年