情報システム学会 メールマガジン 2012.1.25 No.06-10 [5]

連載 著作権と情報システム 第34回

司法書士/駒澤大学 田沼 浩

1.著作物

[3] 文化庁案「著作権審議会第六小委員会(コンピュータ・ソフトウェア関係)
       中間報告」(26)

「中間報告の結論」著作権法におけるコンピュータ・ソフトウェアの保護の問題に関する対策
3.プログラムの実行に関する権利の取扱い
 プログラムをコンピュータで実行するときに、新たに実行する権利を付与するかどうか。これまでも述べたとおり、新たに実行する権利を認めることは、理論的にも実際においても難しく。確かにプログラムを不正にアクセスする者の対策とはなりうるが、プログラムの流通面で障害となるなどの問題点も多い。そのたる、中間報告ではこのような新たな権利の付与を見送ることを決めた。
 特に問題となるであろう「違法に複製されたプログラムの実行」については、限定な侵害行為として法制化されることになった。
 中間報告に沿って、著作権法第113条を改正し、同条第2項が新たに設けられた(昭和60年6月14日法律第62号により改正)。
【著作権法第113条第2項】
2 プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成された複製物(当該複製物の所有者によって第四十七条の三第一項の規定により作成された複製物並びに前項第一号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によって同条第一項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知っていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。

引用・参照文献
著作権法概説第13版、半田正夫著、法学書院、2007年
著作権法、中山信弘著、有斐閣、2007年
ソフトウェアの法的保護(新版)、中山信弘著、有斐閣、1992年
岩波講座 現代の法10 情報と法、岩村正彦、碓井光明、江崎崇、落合誠一、鎌田薫、来生新、小早川光郎、菅野和夫、高橋和之、田中成明、中山信弘、西野典之、最上敏樹編、岩波書店、1997年