情報システム学会 メールマガジン 2011.2.25 No.05-11 [5]

第6回 懇話会 開催報告

企画委員会

1.開催日時  2011年1月26日(水) 18時〜20時15分
2.場所    専修大学神田キャンパス 神田校舎7号館771教室
3.話題提供者 伊藤重隆企画委員長、伊藤重光企画委員、甲斐荘正晃企画副委員長
4.出席者   15名
5.テーマ   社会への提言の現状と今後のテーマ

6.発表概要

 ・企画委員長より、社会への提言活動についての方針、昨年10月公表した提言、大規模システム化した自動車の安全性向上策(プリウス・ブレーキリコール問題考察)についての背景、提言ポイント、情報システムの重要性の認識の下、今後の活動を行う旨の説明があった。
 ・伊藤企画委員より「社会への提言」の候補として4テーマの説明があった。1番目は、先般、大きな話題となった「尖閣諸島ビデオ情報漏洩とセキュリティ体制」、2番目は、「医療分野におけるIT活用」、3番目は、「グローバルIT人材の育成」、4番目は、「ITサービス業界における柔軟な働き方」であった。まず、1番目は、情報漏洩が職員の行動是非にマスコミでの議論は終始しているが、情報システムのセキュリティ管理の観点から提言する、2番目は、日本の医療分野でIT活用が遅れており行政のリーダーシップが無いと進展しないので、例えば、個人の医療情報の集約化・共有化等の点から提言する、3番目は、国際化の進展でグローバルに通用するIT人材が不足している現状から、「学校教育―幼少時から外国人による英語教育・大学での英語による授業・実務に結びつく授業や研究」、「企業での教育―若い時に海外勤務機会提供・情報システムの基礎研修は終了が前提による教育」についてグローバル化の点から改革を提言する、4番目は、柔軟な働き方が社会で望まれている中で、SEの仕事環境が現在改善できない場合がありSEと言う職業を魅力あるものにするためには阻害要因となっている。これを打破する提言を行ないたいと発表がありました。特に、重要度から1番目と3番目について優先候補としていきたいと発言がありました。
 ・次に、甲斐荘副委員長より提言候補「経営者へのIT教育のあり方〜IT部門の地位向上策」について説明があった。日本企業でのIT活用低迷の原因に、経営者層のIT理解・活用意欲の低さに起因したIT部門の低さがあり、この背景として、1.情報を活用した経営管理技術の普及度合い、2.情報システムは、コンピュータ専門屋の仕事、3.企業内でのCIO、IT部門の存在価値の認識度合い、4.経営者向けIT教育の目標とプログラムの問題点があり、これを改革するために、経営者層のITへの理解と活用意欲向上策として、経営者向けのIT教育のあり方を幅広い観点から議論し成果を社会への提言としたいと発表がありました。

7.質疑・感想概要

 ・尖閣の情報漏洩は、価値判断が入り単に情報漏洩の問題では無いと考える
 ・情報保護・保管の観点が重要ではないか。グローバル企業でのやり方を学ぶ必要があるのでは。個人情報保護のテーマであると興味があるが。
 ・グローバル化と言っているが、企業への入社前の戦力が問題であると思う。
 ・経営者へのIT教育のあり方を提言として行くのは賛成である。中堅・中小企業についてどの様に考えるか問題と思う。
 ・企業のIT化により全てが解決することは無い。IT化の流れに反するかも知れないが、企業においては属人化により効率が良い場合もあり、全てマニュアル化するのは疑問。
 ・企業には組織IQと言うものが想定されIT化もこれに比例するものでは無いか。

8.まとめ

 今回の提言候補について会員の皆様と意見交換でき参考となりました。今後の、社会への提言の参考とさせて頂きます。来年度も会員の皆様と気楽に話が出来る場所を設けます。
以上