情報システム学会 メールマガジン 2010.1.1 No.05-09 [7]

第6回 情報システム学会 全国大会・研究発表大会
「ベストプレゼンテーション賞」 選定記

山口高平(第6回全国大会・研究発表大会 プログラム委員長)

 2010年11月28日(日)に,専修大学で第6回全国大会・研究発表大会が開催されました.本大会では,ベストプレゼンテーション(BP)賞が新設され,永田奈央美さんと砂田薫さんがBP賞を受賞されました.

・5-4永田奈央美(静岡産業大学)
 「適応型e-Learningコンテンツの系列化手法」
・2-1 砂田薫(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)
 「デンマークにみるユーザー中心の情報化」

 学会として賞を授けることは初めての経験でしたので,進め方に戸惑う場面もあり,手探りで進めてきた感がありますが,今,振り返ってみますと,色々と収穫もあり,授賞を実施してよかったと感じております.以下,印象に残っている事を記載させて頂きます.
 春から夏にかけて,大会での授賞の実施可否について,理事会から編集委員会に打診があり,編集委員会では,まず,優秀論文賞かBP賞のどちらにすべきかを議論しました.研究発表大会なのだから,論文だけでなく発表の良否も評価されるべきという議論から,授賞はBP賞とし,論文審査と発表審査の両方から総合的に判断することにしました.例年,投稿締切日までに5-6割程度の論文しか投稿されてこないので,論文提出締切日での論文内容を書類審査の対象にすると公表しました所,9割以上の方が投稿締切日を守って頂くことができ,この点は大きな収穫となりました.
 11月5日(金)に論文投稿が締め切られ,編集委員会がプログラム委員会を兼ねることとし,1論文に3名の委員を割当てることにしました.その結果,1人の委員が10数編の論文を評価し,その中から1-2編の論文を推薦することになりました.私の予想では,専門分野などを考慮して論文を各委員に割当てましたので,2名以上の委員から推薦を受ける論文が4-5編は集まり,それらの発表を聴講してBP賞を選定すれば良かろうと思っていました.ところが蓋を開けてみると,その予想は見事に裏切られ,ロングペーパ5編,ショートペーパ7編,計12編の論文がBP賞候補論文として推薦されてきました.各委員の評価観点は結構異なり,2人以上の推薦のある論文は1編のみで,他はすべて1人の委員のみからの推薦となり,評価が分かれました.
 この論文審査結果は,よい論文が多くて推薦が分かれた,あるいは,情報システム論文の評価の多様性の結果とも解釈され,これはこれでよいと思いましたが,今度は,BP賞の選定が難しくなりました.ロングとショートでは,発表や質疑応答時間が異なりますので,すべて合わせて審査するのは困難であること,およびロングとショートがほぼ同数ということから,ロングから1編,ショートから1編,計2編のBP賞を選定することにしました(ただし来年以降,2編選定が続くわけではありません).
 研究発表会当日は,1人あたり3編程度の候補論文の発表を聴講して,研究発表大会終了後に,その聴講評価を持ち寄って,BP賞を選定した結果,最初に記載したように決まりました.永田奈央美さんの研究発表は,深い洞察に基づき,教育コンテンツもしっかり実装され,発表及びQAも申し分なく,当学会が目標としている人材育成に大きく貢献するということから受賞されました.砂田薫さんの研究発表は,デンマーク電子行政担当者に直接インタビューされて情報を収集した後,電子行政の在り方の提言としてまとめられ,人を中心にした情報システムの在り方について説得力の高い提言であるということから受賞されました.
 BP賞選定後,そのまま懇親会でBP賞の表彰を行いました.表彰時には,あいにくお二人はご都合が悪く不在でしたが,最後に,永田さんは懇親会場に戻ってこられ,表彰式が行われ,懇親会が大変盛り上がりよかったです.事前連絡すべきかどうかは悩んだのですが,12名の候補者に事前連絡すると,その情報が漏れ広がり,候補者でない発表者に悪影響を与える懸念がありましたので,今回は一切,情報を漏らず選定を進めました.次年度以降は対策が必要かもしれません.
 以上,BP賞選定について,印象に残っていることをつらつら書き並べましたが,授賞は,発表者のモチベーションをあげ,いい効果が生まれたように思います.今回,惜しくも受賞されなかった方が多数おられましたが,研究を進めて,是非,来年も投稿して頂ければと思います.そのようなトライが継続することにより,研究発表大会がより盛り上がっていくことを期待しています.