情報システム学会 メールマガジン 2007.10.25 No.02-7 [3]

年金問題検討プロジェクトについて

 年金問題検討プロジェクト(リーダー:上野南海雄)は、新潟国際情報大学で開催される第3回情報システム学会全国大会・研究発表大会で「年金記録管理システム問題討論会」を開催します。開催日時は大会初日の11月30日(金)17時〜18時20分、場所は同大学A会場です。主な討論テーマは、(1)情報システム専門家の専門性、専門家の倫理、(2) 受注企業倫理と説明責任、(3)年金記録管理システム受発注構造と問題の解明、です。これら3テーマの議論を深めると同時に、本学会の理念に沿って情報システムの視点から、年金問題を題材に「真に健全で安心できる社会とは何か」「技術者の倫理とは」などの課題についても会員相互で活発な意見交換をできればと願っています。皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
 なお、年金問題検討プロジェクトの活動の背景、経緯、今後の予定は以下のとおりです。

 社会保険庁の年金記録問題は、年金に関する国民の不安と不信感を招き、大きな社会的問題になっています。国民的に関心の極めて高い年金問題について、情報システム学会では、社会保険庁年金問題検討プロジェクトを立ち上げ、年金問題に取り組むことにしました。

 航空・鉄道事故では「航空・鉄道事故調査委員会」がありますが、公共性が高く社会的影響の大きい情報システムに関する事故にはそのような調査機関はありません。また情報関係の多くの学会も社会で発生するさまざまな出来事について学会の立場から積極的に問題をとらえ十分な発言をしているとはいえません。

 情報システム学会では,情報システムとは,
「社会または組織体の活動を支える適切な情報を集め、加工し、伝達する人間活動を含む社会的システム」と認識しています。情報システムは社会、企業にあって、重要な役割を果しています。利用者にとって健全で、真に有用なシステムの構築が求められています。情報システムの企画、設計、開発、運用に携わる技術者の倫理や企業の社会的責任についても議論を深めています。上記認識のもとに、情報システム学会は、社会で発生する出来事についても情報システムの視点から、積極的にかかわりを持ち社会に提言活動します。

1.期間

平成19年7月〜12月

2.検討の範囲

(1)年金記録管理システムは、利用者(国民)にとって真に有用で安全な情報システムか? (2)社会保険庁の情報システム理解度、発注能力および情報システムが健全に働く業務運営力
(3)情報システム専門家の専門性、専門家の倫理
(4)運営に携わる担当者の倫理
(5)受注企業倫理と説明責任
(6)年金記録管理システム受発注構造と問題の解明
を中心に議論を深め,情報発信いたします。
(注)年金システムとしてとらえるのが、本来の進め方であるが、公的に発表されている資料は年金記録問題に関するものです。公的に発表されている資料などをもとに検討をすすめます。また(1)、(2)、(4)については、すでに年金記録問題検証委員会などが発表している報告書や他の機関などで言及されており、学会では、(3)、(5)、(6)を中心に議論をすすめようと考えています。

3.今後の進め方

検証委員会の中間報告が10月中旬以降に発表される計画です。(10月22日現在、未発表)当初の検討テーマと検証委員会が発表する予定の中間報告書を踏まえ、今までプロジェクトで議論された(作業部会も含む)論点を整理したうえで、プロジェクトメンバーにはかり、提言書をまとめる。(数回会合する予定)

4.年金問題に関する討論会の開催

新潟で開催される研究発表大会では年金記録問題について、項目番号2の(3)(5)(6)を中心に大会参加者も交えた討論会を開催します。

以上