カンボジア在住のインサイト・コンサルティングCEO,早川からの最新の現地レポートをお伝えします。
歴史的には,フランス統治時代には政治部門ではベトナム人が重用され,経済は中華系が握るという構図でしたが,独立後例のポルポト時代の民族浄化で,ベトナム系,中華系が迫害され華僑もいったん中国語を捨てるということがありました。昨今の中国の台頭で再び中華系が中華学校を再建し,中国から中国語の教師が呼ばれるなど中華系の再興が始まっています。
現状では,台湾系が街の中心の中小零細企業を仕切り,郊外の大規模な繊維工場は中国系で,大手の商業施設はタイ系,韓国系が不動産投資で儲けているという形で各民族資本が棲み分けています。韓国系は目立ちませんが,不動産部門ではかなりの成功をおさめているようです。空港から都心部への道路の両側の土地は15年ほどまえに1平米単価が35セントだったものが,今は200ドル(570倍)に高騰しており,儲けたのは韓国資本だという口上を,空港から乗ったタクシーのドライバーから聞かされました。都市伝説化したネタ的な要素もありますが,話半分くらいには受け止めています。
現地通貨はリエルですが,おつりのための小銭としてしか使われていません。基軸通貨(?)は米ドルで,タイバーツも流通しています。銀行もドル,バーツ口座を用意しており,バーツ預金ですと,一年定期の利率が8%です。タイはシンガポール,マレーシアに次ぐ,アセアンの3番手という印象がありますが,シンガポール・ドルやマレーシア・リンギットが隣国で流通しているという話は聞きませんので,タイ資本のしたたかさが伺えます。
拙宅のアパートに敷かれているCATVは60CHほどありますが,その半分が中国語放送,もしくは中国語字幕放送で,英語,タイ語,韓国語,クメール語,フランス語が複数チャネルを有し,インド,イタリヤ,日本語放送が1 CHあります。こうしたところに外国人の勢力図が反映しているように思われます。