3月17日に開催された第二回ロードマップ検討会において,人材育成調査研究委員会のこれまで活動概要を報告し,今後の活動方針について討議しました。
この委員会では,情報システムを,「個人・組織・社会が情報をどのように取り扱うか」という情報行動のあり方にまで拡げて広義に定義しました。また,21世紀の社会は,個人・組織・社会の活動が一層グローバル化するため,歴史や文化・民族・宗教的背景を異にする人々のフラットな交流が促進される,情報環境はインターネットのサイバー空間にまで拡張されるという認識に立ちます。
日本の情報システム分野は,3K職場,技術者が要件定義を書けない,システム障害が頻発するといったさまざまな課題を抱えていますが,その背後にある本質的な課題は,「論理的思考とコミュニケーション」能力の不足です。しかし,この能力は,情報システム分野に限らず,21世紀に身をおくすべての人々に必須な基本的能力であろうと考えます。さらに,この能力を発揮するための基礎的なスキルは言語技術(language arts)であり,言語技術の訓練によって始めて「論理的思考とコミュニケーション」能力も向上するのであろう。人材育成の基本は,この能力,スキルの育成にあるとの結論に達しました。
このような基本的な課題認識に立って,当委員会は,今後具体的な施策の立案と活動に着手する予定です。これまでの2回の研究発表大会でも,人材育成に関して熱心な議論がなされました。これらの議論に参加された学会会員の皆様が,人材育成委員会(現,人材育成調査研究委員会)に積極的に参加してくださるようお願いします。