開催日時:平成21年5月16日(土) 午後1時30分〜
場所:慶應義塾大学理工学部創想館2階 ディスカッションルーム8
第1部 午後1時30分〜2時30分 質疑20分
情報システムのパラダイムシフト(オーム社)
まちがいだらけのERPパッケージ(日科技術連)
成功に導くシステム統合の論点(日科技術連)
豊富な情報システム構築業務経験に基づく,構造化プログラミングの在り方.
現在のコンピュータの構造はすべてノイマン型.これは,常にデータに対して操作を加えるという基本設計で成り立っており,この基本設計がコンピュータプログラムの基本になっている.そこで,現在のソフトウエアの作成は,データの周りに機能を集めた形を取る.
この考えに立つと,日本の構造型プログラミングは,機能構造型であり,コンセプトが間違っている.また単純に大きなプログラムを小さく分解しているだけの構造化も間違った技法である.
同じデータに対して処理するプログラムをクラスとして集めるのが,最適な構造化だと考えられる.
一方データは.物(モノ).処理は事(こと).モノの動き(処理)をとらえられるよう設計すると最適な構造化プログラミングになる.
この考えに従うと要求の特定は,データの種類と識別を特定し,それをプロトタイピングする.これを繰り返すことと言える.
第2部 午後3時〜4時 質疑 20分
非技術者でもITシステムの要求分析を行えるような方法論を目指して開発したものがSBVA(Scenario-Based Visual Analysis:シナリオ図解化分析)法で.
コンサルティング手法であるコンテキチャルデザインを基本にした要求分析手法.
コンテキチャルデザイン(Contextual Design)は,Contextual Inquiry,Flow model
Communication model,Sequence Model,Artifact Model ,Cultural Model ,Physical modelからなる.
ITシステムを開発するために、業務を深く理解するために業務分析をすることは重要である.一方非技術者にとって、抽象度の高いモデリング作業に参加するのは難しい(UMLを使うことはもちろん,理解も難しい).自然言語でシナリオを記述する業務分析は非技術者にとっても馴染みやすいが、完成したシナリオからITシステムの要件定義にまで落とし込む道筋が明らかでない.また、ビジネスユースケースシナリオは、システム化との整合性も高いがやはり非技術者が簡単に作成できるものではない.
非技術者にとっても扱いやすい「シナリオ」を用いて、ITシステムの機能要件を体系的に導き出す方法論が、SBVA法.
「1. 業務手順書の記述」で、業務を自然言語でシナリオを記述する.
「2. 業務鳥瞰図の作図と編集」で,シナリオから業務の全体像を示す鳥瞰図を作成し、この図解を編集する作業を通して本質的な業務の構造を抽出する.
「3. ユースケース図の作成」で,編集が完了した業務鳥瞰図をUMLのユースケース図に変換する.