プレジデント社,2007年6月刊
著者の甲斐荘氏によれば『本書は女子高生の視点を借りた小説仕立てとすることで、従来の「用語解説」的な断片的な解説では理解しにくい「会社での仕事に必要な基礎知識」を、ストーリーの中でその適用場面と共に示すことで実感を持って理解できるように工夫した「ケーススタディ・ビジネスノベルズ」という新しい試みです』とのことです。
以下に、著者に当書籍に関して寄稿していただいた全文を掲載します。
(本書の目次を最後に記載しています。)
新卒学生の方の3割以上が入社3年以内に離職しているとよく報道されますが、小生が業としております企業のコンサルティング活動の中でも、若手社員を育てていこうという職場の雰囲気が、年々希薄化していることを痛感しております。その背景には、近年多くの企業で導入された成果主義が、未消化な形で運用されていることも一因ではないかと思います。情報システム学会の対象となる情報システム要員も例外ではないと思います。そんな中で新人の社会人の方が良いキャリアを積み上げていくために、少しでも役に立つ情報を提供できないかと考え、本書の執筆に至りました。
学生生活に別れを告げ、ビジネスマンになられる方にとって「会社の中では、実際はどんな会話がされているのだろうか」「自分が配属される部署は、会社全体の中でどんな位置づけにあるのだろう」「自分がビジネスマンとしてのキャリアを積んでいくために、入社後どんな意識で仕事に向かうべきなのだろうか」など、様々な疑問と不安を持たれていることと思います。
仕事のマナーや業種解説などの書籍は豊富に出版されていますが、現場経験のない学生の方が、職場での慣れない用語を事前に習得することができる書籍は皆無です。本書は女子高生の視点を借りた小説仕立てとすることで、従来の「用語解説」的な断片的な解説では理解しにくい「会社での仕事に必要な基礎知識」を、ストーリーの中でその適用場面と共に示すことで実感を持って理解できるように工夫した「ケーススタディ・ビジネスノベルズ」という新しい試みです。仕事に必要な用語の理解だけではなく、社会人としての成長に欠かせない職場でのコミュニケーションの重要性も感じていただけると思います。
今回は特に製造業を舞台に、「モノづくり」の現場に入る新人の方に欠かせない最低限の基礎知識を習得して頂けるようにしましたが、製造業の方だけでなく、社内の情報システム部門の方や、情報サービス提供企業で製造業を担当される方が、仕事で恥をかかないための「豆知識集」としても活用頂けると思います。
また、本と連動して若手社員を応援するサイト(http://www.wanta.jp)を用意し、追加の質問にも対応できる様にしております。
明日の日本企業を支える新人・若手社員はカイシャの宝です。本書が、その様な方たちの職場での成長に、少しでもお役に立てばと願っております。
<本書の目次>
プロローグ なんで私が社長日記なの?
第1話 傷んだキャベツも捨てちゃいけない理由
第2話:ネコしか知らない現場情報
第3話:工場と営業、悪いのはどっち?
第4話:予想が当たれば競馬もケーキ屋も大儲け
第5話:ピッキングって空巣狙いの仕事?
第6話:先に売り切れるおにぎりはタラコと昆布どっち?
第7話:雨降って地固まるって言うけれど
第8話:会社でも三者面談がいるかしら
第9話:お買い物の知恵は家庭も会社も同じ
第10話:会社の中も特急が走っているのね
第11話:子供っぽい手にはだまされない
第12話:JITとカンバン勉強しとこうね
第13話:工場って躾も教えてくれるところ
第14話:売れないモノを作ってしまうのはなぜ?
第15話:フリマはアイデアの宝庫
第16話:「オカメ・ハチモク」って聞いたことある?
第17話:赤貝を切らすとヒモキュウは作れません
第18話:おいしいリンゴを作るのはだれ?
第19話:社訓って、古くて新しい
エピローグ:ブランドって社員が創るもの