ISSN 1884-2135

情報システム学会誌
JISSJ Journal of Information Systems Society of Japan

第 5巻 第1号
Vol. 5, No. 1

[巻頭言]

会長就任のご挨拶

著者
竹並 輝之
表紙
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i

謝辞

著者
竹並 輝之
表紙
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iii

[記事]

学会誌の編集方針

著者
神沼 靖子
表紙
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1

[論文]

知識資源ベースでの情報システム・ライフサイクル改善

著者
松平 和也, 市川 照久, 水野 忠則
表紙
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要旨
長年かけて開発した巨大情報システムが数年で運用できなくなるというシステム破綻が起きている。企業は経営環境の大変動の荒波の中で,情報システムの開発・運用・維持・改善を図ることに大きな関心を寄せている。巨大で複雑に変容した情報システムには,まずその変更要求に迅速な対処ができないということが起こる。しかも修正変更そのものが複雑すぎて完全な維持作業ができないことで情報システムの運用不可という事態に至る。新規開発では,巨額の費用を投入しながら開発途中のプロジェクトを中断したり,開発完了したばかりの情報システムを廃棄したり,又運用に入った情報システムの利用を数年で中断して再び再構築を開始するなどの問題も発生している。実は,これらの問題の根底には企業組織の変化による業務実体の変更という原因が存在する。これを解決するために,情報システムのライフサイクル統制という枠組みを俯瞰し,知識資源管理の特徴を活かした情報システムの整備が必要である。筆者らは,情報システムの安定的開発を可能とさせ,その効用を維持向上しつつ経済寿命を延伸し,情報システム・ライフサイクルの費用削減を図ることを研究してきた。本論では企業が蓄積している知識資源の内容に着目し,組織を知識資源要素として認識し,他のシステム,情報やデータという資源要素をこれに統合し,知識資源管理を確立することでその効用を向上させることを提案している。知識資源管理の導入事例として,知識資源の利用効果実現とともに,システム維持管理方法そのものにもITを適用し,情報システムのライフサイクル改善を達成しえた実例を報告する。

3

[論文]

情報概念を基礎とする大学一般情報教育

著者
桑原(中島)尚子
表紙
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要旨
本稿は大学一般情報教育においては基礎とする情報概念を確定する必要があり,それに基づいて教育がなされるべきであることを主張する。そしてシャノン,ウィナー,ベイトソン,マトゥラーナ/ヴァレラ,西垣における情報概念を検討し,情報の意味という静的側面とその意味生成という動的側面を同時的に捉える,西垣の「情報とは生命体にとって意味作用をもつもの」という情報概念を妥当と考える。まずシャノンの情報伝達モデルは客観的実体としての静的な意味だけを捉える情報概念をとっていることを述べる。そしてこの情報概念を用いると客観的世界および知識が環境に存在することをアプリオリに前提としてしまうことになり,このことが情報教育の内容を皮相なものにしていることを述べる。さらに情報概念と深く関係する知識あるいは'知ること'について,オートポイエーシスにおける'知ること'およびこれと基本的認識視点を共有する構築主義における知識,学習観を検討する。そして'知識'を基に教育を構成するのではなく,学ぶ者の'知ること'-学習者が能動的に動いて自己の認識枠組みの変更に至ること―が学習であると考える。この考えに基づいて教育をデザインし,それによる教育実践とその結果を報告する。

20

[記事]

災害で学んだこと

著者
今井 辰夫
表紙
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34

[解説]

日本のIS研究と世界へのその発信

著者
小坂 武
表紙
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38