ISSN 1884-2135
情報システム学会誌
JISSJ Journal of the Information Systems Society of Japan
第 17巻 第2号
Vol. 17, No. 2
[学会誌表紙]
[巻頭言]
- 著者
-
伊藤 重隆
- 表紙
- pdf
i-ii
[研究論文]
- 著者
-
Mitsuyoshi KITAMURA, Takumi YAMAGUCHI, Toshikazu TAKESHITA, and Takahito TOMOTO
- 表紙
- pdf
- 要旨
-
本論文は,将来のサーバエンジニアを教育するために設計されたサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発について報告する.
サーバシステムの構築,運用や管理の技術はサーバエンジニアにとって必要不可欠な知識であるため,それらの詳細を包括的に学習する必要がある.
これを実現するためには,通常,学習者(ユーザ)ごとに複数の実サーバを使用した学習システムが必要となる.
特に複数のユーザが同時に学習できる環境を準備する場合,コストや運用方法および保守で解決しなければならない多くの問題がある.
SSCTSでは,サーバ仮想化技術および仮想ネットワークコンピューティングを使用することで,この問題を解決している.
SSCTSは,サーバシステムの構築,運用や管理に重点を置き構築した“監視”,“サーバ構築”,“システム構築”や“トラブルシューティング”の4つの主要な学習メニューを基本としている.
各メニューにおいて,ユーザはSSCTSと対話しながら知識を習得し,調査および構築演習を行う.
各ユーザは,最大25台の仮想サーバを同時に使用することができる.
通常,複数の仮想サーバを1つのユニットとして提供するシステムでは,システムの移植やその拡張作業に長い時間を必要とし,手動操作による人的エラーの可能性も懸念される.
これらの問題を解決するために,SSCTSの自動移植システムを開発して導入し,実験によりシステムの有効性を検証している.
フェイルオーバクラスタシステムの構築を例とし,A群(SSCTSを使用)とB群(複数のサーバで構成される実サーバシステムを使用)の2群が,理解度の向上を判断するために,
実験においてシステム構築前後にテストを行い,その後,両群がシステムを入れ替え,再度,システム構築を行い,操作性に関するアンケートを行う.
事前テストと事後テストの結果は,両群とも明確に同レベルの知識向上を示している.
そのため,サーバエンジニアのトレーニングシステムとして,SSCTSはコストと消費電力の点で実サーバシステムよりも優位性があることを示している.
1-18
[研究論文]
- 著者
-
須賀 康也,大曽根 匡
- 表紙
- pdf
- 要旨
-
日本のIT業界では,IT人材の不足が長年の課題となっており,その解決に未だ至っていない.
筆者らは,その原因のひとつは,社会人となる前の最後の教育機関である大学での情報教育にあると考えた.
本研究では,一般情報教育の講義で使われている教科書に着目し,「情報」や「コンピュータ」を講義名に含む講義で使用される教科書を各大学のシラバスから抽出した.
そして,その教科書の内容を精査し,情報処理学会が一般情報教育のカリキュラム標準として策定したJ17-GEにどの程度準拠しているかを定量的に分析した.
19-34
[事例実践論文]
- 著者
-
千葉 穂乃美,宮治 裕
- 表紙
- pdf
- 要旨
-
人間は情報の多くを視覚から得ている.しかし,視覚障害を抱えている人は世界では少なくとも22億人いるとされており,自分の周辺の情報を取得することが厳しい人も多い.
現状の点字や音による視覚障害者への周辺情報の提示は,情報を取得できる時間や場所が限られてしまうという問題がある.
本研究では,全方位カメラと眼鏡型ウェアラブルデバイスを用いて,視覚障害者に対して文字情報,物体情報とその方位を音声で提示するシステムを提案した.
本システムの精度検証では,認識の精度が高いことが確認された.
また,実際に実験協力者に使用してもらったところ,精度の高さと操作のしやすさに関して良い評価を得ることができ,有効性を示すことができた.
35-48
[事例実践論文]
- 著者
-
魚田 勝臣,大曽根 匡
- 表紙
- pdf
- 要旨
-
本研究で報告する教科書を計画した1997年頃は「情報化時代」と呼ばれ,情報システムが人間活動に効率性,柔軟性と利便性をもたらす時代になっていた.
そして,多くの利便性がコンピュータの利用によってもたらされたため,その当時は、「情報システムはコンピュータシステムである」という考え方が世の中に定着していた.
その原因は情報やコンピュータ,あるいは,情報システムに関する大学初年次教育にあり,特に,そのための教科書にあったと考えた.
これに対して,浦昭二博士の研究グループは「情報システムは,社会や企業の活動に必要な情報の仕組みであり,広義には人的機構と機械的機構とからなる」という考え方を1992年に提唱していた.
筆者らはこの考えに同調し,その思想を伝播するための教科書制作を1997年に実践した.
情報システムはめまぐるしく変化するので,教科書を持続的に改訂する方針を立て,結果として,20数年もの間、持続して教科書を改訂をすることができた.
本論文では、その20年間の経過について報告する.
49-61
[第14回シンポジウム講演]
- 講演者
-
森川 博之 氏(東京大学大学院 工学系研究科 教授)
- 表紙
- pdf
62-71
[第14回シンポジウム講演]
- 講演者
-
杉本 麻樹 氏(慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授)
- 表紙
- pdf
72-79