セッ
ション:「モデルと方法論」
MDL-01:「エンティティの状
態の正規化に関する考察」
Alexis Nanou(東京国際大学・商学研究科)
【概要】これまでの上流工程分析ではエンティティとプ
ロセスのCRUD図が使われてきたが、最近はより厳密な記述としてエン
ティティの状態図が使われるようになってきている。しかし、状態については人によってとらえ方が異なっているのが現状である。そこで、我々は、状態遷移を
引き起こすイベントの単位を明確にすると共に、エンティティの固有の状態と導出状態(派生状態)を区別して、状態のとらえ方に客観性を持たせることを追求
した。
MDL-02:「モノ・コト分析実
践のためのパターン言語」
河合昭男(有限会社 オブジェクトデザイン研究所)
【概要】前回発表論文(C-01)「独立エンティティと関連クラスによるドメイン・モ
デル」の内容を基に、ドメイン・モデリングの実践方法をモノ・コト分析の視点でパターン言語としてまとめた。エンティティ系のオブジェクトをステレオタイ
プ《mono》、イベント系のオブジェクトをステレオタイプ《koto》で表し、読み書きの容易なドメイン・モデリングの実
践方法を示す。
MDL-03:「システムモデリン
グのアフォーダンス的アプローチについて」
増澤洋一(千葉工業大
学・経営情報科学科)
【概要】情報システムの設計・構築にむけてアフォーダ
ンス(環境情報、生態心理学)理論からのアプローチを試みる。具体的には、まず自然言語で表記された業務マニュアルをUMLなどのモデリング言語に変換す
る手法(構造化マニュアル分析・設計技法:SMAD)の実務適用を通じて発見された問題点を検討した。そ
れによって、非構造的な業務の分析に何があることがわかった。そこで環境情報学的な枠組みによってこの問題を解決することを試みある程度の成果を得た。
MDL-04:「ハードウェア性能
をフルに生かす処理構造の例−未知数のメモリ型DBMS」
福市良次(有限会社ポプラ)
【概要】ベンチャ企業等より幾つかのメモリ型DBMS(※)が提案されている。これらに共通した理念
「CPUとメモリ資源をバランスよく活用する処理構造」が、極めて安定したコスト・パフォーマンス向上をもたらしている実例を示し、(1)普遍性の高い技
術コンセプトたり得ること、(2)メモリ上での処理の柔軟性は処理目的に合わせた様々なメモリ型DBMSの出現が期待されること、を述べる。
(※)メモリ上でのアクセス処理を前提として構造設計されたDBMS
MDL-05:「要件定義・ビジネ
スモデル化方法の一考察と挙動指向アプローチの提案」
溝口徹夫(法政大学・情報科学部)
【概要】情報システム開発における上流工程としての要 件定義やビジネスモデル化の重要性は言うまでもない。これに関して種々の側面の方法や主張が存在するが、十分に理解することが困難である。そこで、課題領 域を取り上げ、整理することを行った。特にその中で、ユーザ(あるいはステークホルダ)とシステムアナリストの間のコミュニケーションの手段 として「挙動(Behavior)指向」のビジネスモデル化と要件の定義方法を提案す る。ただし、この方法は実務上で検証された訳ではない。
MDL-06:「システム開発にお
けるXMLの効果的な活用に関する検討」
前田和昭(中部大学・経営情報学部)
【概要】ここ数年来,データを記
述する形式としてXMLが注目され,Webを
中心に製品開発の現場で積極的な利用が進んできている.本発表では,逆エンジニアリングツールと,コンパイラのフロントエンドを開発するときにXMLを利用した経験をふまえ,プラットフォーム,プログラミング言語,ライブラリ,ツールなどの観点から,
システム開発でXMLを効果的に活用することについて検討する.
MDL-07:「単一ファイルにの
み事実を記録することによるシステム安定の手法」
堀田正隆(株式会社プロ・アクシス)
【概要】企業の情報システムは、種々の業務を扱うよう
になり益々複雑化の度合いを増している。それに伴ってシステム構築の困難性は増し、失敗の確率も高まっているのが現状と言える。本論文は業務の独立性を完
全に維持し、新たな業務がシステム化対象として加わっても全く支障なく追加可能にする手法を提示するものである。根幹をなすアイデアは、「事実は一つの
ファイルにのみ記録する」である。ファイル間の関連性を完全に断つことにより、自由に対象業務を積み重ねることを可能にする試みである。なお、今回の論文
は第一回研究発表大会において発表した「履歴記録方式を適用した企業情報安定化アルゴリズム」を基に、より直截な内容としたものである。
MDL-08:「概念モデル化にお
ける暗黙値と常識共有の要件」
堀内 一(東京国際大学・商学部情報システム学科)
【概要】企業間連携やセマンチックWebの実現には、意味共有手段としての概念モデルの共有が
不可欠となる。しかし、概念モデル化は、とくにモデル制作者の立場や関心事に偏る特性をもつ。本稿では、概念モデルの要件とそれを支援する仕組みについ
て、これまでなされた標準化などを概括しながら、その要件を整理してみたい。また、著者らがISO/IEC JTC1 SC32で進めているISO/IEC19763規格(メタモデル相互運用枠組み)についても述べる。