これからの企業におけるCSRのあり方北城恪太郎会長
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会長を務めさせていただいている北城でございます。
この学会もおかげさまで会員数も400名を超え、第2回の研究発表大会では44件の発表があり、第1回と比較して倍増ということです。企業関係者からの論文も半分近くあり、実際に企業のシステムを扱っている方々の発表ということで、この学会が単に情報技術だけではなく、その事業分野におけるシステムのいろいろな課題、問題点について取り上げていくという、本来の我々の趣旨をあらわした活動ができているのではないでしょうか。
産業界と学会の連携がこの情報システム学会の特徴でもあるわけですから、本来の趣旨に沿って学会が運営されているということです。特に今回の研究発表大会の準備に当たられました実行委員の方々、またプログラム委員の方々、本当にご苦労さまでした。この学会の活動が日本のITの活用を一層高めるために貢献できることを願っています。
今日は20分少々時間をいただいて、企業におけるCSR(Corporate Social Responsibility)、企業における社会的責任経営、つまり、企業活動そのものが社会にとって好ましい活動でなければならないということについて少しお話をさせていただきます。今、様々なところで企業の不祥事が発生しています。これはアメリカだけではなくて日本でもいろいろな問題が起きています。有名な話はエンロンやワールドコムですが、それだけではなくて、日本でも耐震偽装の問題や、安全性に関する問題が発生しています。企業の活動が社会から信頼されないということは非常に大きな問題だと思っていまして、企業の社会的責任について今日は少しお話をしたいと思います。CSRとはどのようなことか、日本におけるCSRの取り組み、そして具体的にどのような活動が行われているのかを少しご紹介して、皆様の今後の活動の中に生かしていただければと思います。
企業の社会的責任ということですが、企業あるいは事業を行う主体が健全に活動するというのは、実は昔から大事なことであって、江戸時代には近江商人の家訓で、「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言われていました。健全に活動をしている企業、あるいは事業体が成功するということです。結局、お客様にとって価値のあること、そして売り手にとっても価値のあること、そして社会から見ても好ましい活動をすることは大事だということです。これは江戸時代から言われていることなのです。この言葉そのものが企業の社会的責任ということをあらわしています。ただ世間によしとしたときに、世間が求めるもの、つまり、社会の期待値というのは変わっていくわけですから、現在我々が置かれている環境の中で、買い手にとって何が好ましいのかということを考えなければならないと思いますし、また事業体も、商人という形から企業になりますと、株主とか従業員だけではなく、社会を取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)を考えた活動をしなければいけないということだと思います。
アメリカでも、武器とかギャンブル、アルコール、たばこなどを売買するような商売をしているところには投資をしないということを教会を中心に活動をしたとか、人種差別を行わないとか、あるいは社会貢献(フィランソロピー)が重要であるとか、そして最近はISOによるCSRの標準化づくりをしていこうというようなことで、社会の評価や求めるものが変わってきています。しかし、本質的には、お客様にとっても、社員にとっても、地域社会にとっても健全な経営をすることが大事だということだと思います。
それを現在の環境の中で少しまとめてみました。CSRは企業の社会的責任あるいは社会的責任経営であるといわれています。企業は多様なステークホルダー(利害関係者)と信頼関係をつくり、バランスをとる必要があります。ある程度バランスが大事なわけで、時には利害が対立することもあります。その利害のバランスをとりながら持続的に発展していくというのが企業の社会的責任ではないでしょうか。
したがって、ただ利益を上げるために反社会的な行動をすれば、短期的には利益が上がるけれども、持続した経営ができなくなります。あるいは社員に過大な負荷をかけて経営をしたところで、結局は長続きしないということになります。特に環境について言うと、かつては公害の問題がありましたが、今は、地球温暖化も含めた環境に対して適切な配慮をしている会社がいい会社だ、社会から見ても好ましい会社だと見られ、逆に環境に十分配慮しないで業績を上げようということは社会から認められないということになります。
当然、法律に反しないですとか、情報を適切に開示していくとか、あるいは社会貢献なども会社の一つの役割だと思いますし、社員に対して十分な機会を公平に与えているとか、日本の場合にはあまり人種的な問題はないかもしれませんが、例えば女性の登用であるとか、あるいはワーク・ライフ・バランスと言われているように社員の仕事と家庭生活のバランスがとれるような経営をしなければなりません。当然ながら公正な取引をしなければなりませんし、お客様に十分配慮しなければなりません。そして、このような経営がきちんとできるためには、ガバナンス、取締役会の機能そのもののつくり方もよく考えていかなければなりません。要するに、1人のすぐれたリーダーに依存した場合、そのリーダーがどこかでこういった社内の期待値に対して反するような行動をしたときに、その行動を是正できるような仕組みを持っていない企業の経営は危ないということです。こういうことで、今コーポレート・ガバナンスも含めて企業の社会的責任経営を推進していこうという取り組みが行われています。
このCSRについて企業経営者はどのように考えているかということをご紹介します。これは経済同友会の中での調査ですが、黄色は2002年の調査結果、青い色は2005年の調査結果、この間に3年ぐらい間があいています。今CSRはどのように会社の中で位置づけられているかというと、経営の中枢に位置する非常に重要な課題だという認識が73%ぐらいで、どちらかというと以前は、払うべきコストと考えられていました。環境に配慮しなければいけないし、社会からも厳しく批判される、やむを得ないコストだという見方のほうが前回の調査では多かったわけです。けれども、今は、重要な課題であり、これを行っていくこと自体が企業の持続した発展につながるということで、単に社会に対する利益還元――かつては社会貢献と言って、文化事業等、音楽とか芸術とかを支援する、こういうことにお金を使うべきだということがありました。これはこれで今も必要ですが――だけではなく、基本的には会社の活動そのものが社会から見て好ましい活動をしていこうということで、文化事業等を支援する社会貢献と社会的責任経営というのは意味が違うわけです。社会的責任経営というのは非常に幅の広い内容で、その中には社会貢献、文化事業支援ということも含まれるということになります。
そして、社会との信頼関係をつくる意味で、一つは社会的な行動をすること、つまり、法に反することはしないということがあげられます。法律に違反するということは社会の信頼をなくすわけですから、信頼を失わないためにも社会的な行動をすることは必要なことです。一方、環境に配慮するということ、つまり、単に公害を出さないだけでなく、地球環境を維持するために非常に努力をしているということは、消費者から評価される好ましい会社だと言われます。社会的責任にもう少し積極的に取り組むことが、企業に対してよい印象をつくるという意味でも大事なのではないかと思います。
それでは今、日本の企業がこのような問題にどう取り組んでいるかという調査結果を少しご紹介いたします。これは2006年5月の調査結果です。
まず、CSRの取り組み体制について、CSR担当の部署などをつくって推進をしている会社は6割になりました。会社の中にもいろいろな機能があるわけですが、かなりの会社がCSRを推進するために、社内全体を調整する組織をつくっているというのが6割です。ただ、従業員300人以下の企業では32%ということですから、中小企業ではなかなかそこまでの体制をつくることが難しいと言えるかもしれません。
さらに、かつて環境報告書という報告書の形で、自社の活動でどのくらい環境負荷を出しているのか、あるいは環境に反するような薬品の流出等がどうかを開示していた会社が多かったのですが、今は環境報告書というよりも、CSR報告書あるいは持続可能性報告書というような形に変わってきています。環境も大事です。しかし、環境も含めて企業活動そのものが社会的責任を考えた経営をしているかということを報告書にして、株主あるいは社会に開示するようになりました。これは従業員5000人以上の製造業では95%の会社が既にCSR報告書というような形に変わってきています。非製造業は43%です。製造業は環境報告書を出すことについての意識が高かった、あるいはそれを期待されていたということが背景にあるのかもしれません。金融を含めてサービス業(非製造業)ではCSRの報告書を出しているのは、まだ半分ぐらいということです。
製品調達等に関していうと、CSRを考慮した調達活動をしている企業はまだ3割ですから、部品等の調達先が健全な経営をしているかどうかについての配慮はまだ十分な段階には来ていないといえます。
それから、健全に経営をするということに対して、例えば、内部監査の組織があるとか、監査体制をつくっているというような法令遵守の体制をつくっている、あるいは、コンプライアンス組織をつくり、法律に反しない活動をするように指導している、という体制構築については95%の会社が法令遵守の体制をつくっていると言っていますが、うまくいっているかというと、まだまだという感じす。十分徹底していて問題ないと考えている経営者は4割ぐらいしかいません。体制はつくったけれども、本当に浸透しているかということについては十分に自信が持てない状況です。
次に、企業行動規範について述べます。自分の会社はこういうふうに活動するのだという行動規律・規範をつくっている会社は92%あるけれども、十分に周知徹底されていると言っている会社は55%ぐらいです。作成した行動規律・規範のとおりに日々活動しているかということについて自信があるという会社は半分ぐらいです。
後ほどまた少しお話ししますが、内部通報の窓口をつくっている会社は84%、しかし機能していると見ている会社は41%です。内部通報の仕組みはつくったけれども、実名以外は受け付けない、実名で書かれていないものは扱わない、あるいは、実名で書いた場合に不利な扱いを受けるのではないかとう潜在的な懸念により、十分に機能していると思っている会社は4割しかありません。この辺が日本のこれからの課題かもしれません。
業績評価についてです。業績評価でコンプライアンス、いわゆる法令遵守して健全に活動していることを評価する仕組みがあるかというと、あると言っているのは56%、十分機能しているとみているのが1割ぐらいです。要は、部署はつくったけれども、人間、ビジネスマンの活動の多くは社内でどう評価されているかということですが、部署評価システムまで連動しているという会社は1割しかないということです。必要性はかなり理解されてきたし、そういう組織をつくり、あるいは行動基準はつくったけれども、それが本当に組織内に健全に機能しているかというと、なかなかそこまでは徹底していません。
これは我々の会社でいうと、2万人を超える社員がいますから、いくら制度をつくっても、必ずしもすべての現場まで徹底できず、制度の周知徹底の意味では課題があるというようなことです。
皆様の今後の活動にお役に立てばということで、私どもの会社も含めて幾つか企業での取組みについてご紹介したいと思います。まず、コーポレート・ガバナンス、取締役会のあり方に関してです。これは、それぞれの国の歴史も違い、法制度も違いますから、取締役会の仕組みも違うのですが、我々が経済同友会で議論している中で、基本的な方向として考えているのは、一つは、業務を執行する、いわゆる経営をする人、社長とか副社長とか専務とかのいわゆる執行役員、経営者と、その経営者が健全に仕事をしているかどうかを監督する立場の取締役とは分離していくべきではないかということです。
もともとは、株主総会で取締役を選び、取締役が社長、副社長という経営者を選ぶ。株主はお金を出すけれども、日々経営を監視することができないので、自分がお金を出した組織の運営が健全にできているかどうかの監視をだれかに代理委任する、それが取締役で、その取締役が実際の経営者を選んでいくということです。ですから、英語のディレクターを取締役と訳した方は偉いですよね。あれは取締役のことです。ところが、日本の会社の場合には、「社長」、「会長」、「取締役」で、取締役が下になっているところが結構あるわけです。社長、会長に、「今度は君を取締役にするよ」と言われて、「ああ、ありがとうございます」と言って取締役になったりしていますから、多くの場合には監視役である取締役が社長を取り締まっていないのです。
かつて三越などでクーデターと言われたことがありますが、本来は取り締まりをする人たちと経営をする人とを分けることです。ただ日本は、戦後60年間、ほとんど取締役が経営者という意識で経営をしてきたことからすると、企業は社長、会長の個人の資質に依存する運営体であったといえます。もちろん、その方が立派な経営をしていれば問題は起きないかもしれませんし、いくら社外取締役を入れても、エンロン、ワールドコムのように、社長あるいはCEOとCFOが悪意を持って経理操作をしてしまうと健全な経営ができているかどうかがわからないということもありますから、社外取締役がいればいいということではないとも思います。
もう一つは、経営のトップを選ぶ、あるいは評価する仕組みとして取締役会が十分機能しているのかということです。次期CEO、次期トップを選ぶときにも、先ほど言った倫理観なども含めて、経営能力があるだけではなく、会社を健全に経営するような次期後継者を選ぶ仕組みがあるかどうかが重要です。日本の多くの場合には、現社長が自分から見て一番いいと思う人を選んでしまいます。社長に取締役を選ぶ権限もありますし、次期後継者を選ぶ権限もある。権限が社長、会長に集中しています。もちろん多くの経営者は適切な経営者を選んでいると思うのですが、「あれを選んだらおれを追い出すかもしれないからこいつにしておこう」などという気持ちが働いてしまうと、健全な後継者を選ぶことができるでしょうか。あるいは、その経営者が行っている経営活動が本当に健全で環境の変化に十分対応しているのか、社会的責任を考えているのかというようなことも見ていかなければならないと思います。
一方、株主の利益といったときには、対象として多様な株主がいます。長期にその会社の株を持って経営の成果を求める株主と、今日買ってあした売る株主といます。ですから、株主の利益といっても、どの株主の利益を考えるのかということです。非常に多様な株主がいますが、取締役はある程度持続して会社の中に勤めます。アメリカでも5年10年勤めている例があります。また、アメリカの会社は短期の業績を追求されると言われ、確かに四半期、3カ月単位で決算を発表しますが、取締役はかなり長期に勤めますから、単に短期の業績だけではなくて、中長期の会社の成長を考えて取締役は経営判断をしていきます。このような仕組みは日本の中でも取り入れていくべきではないかと思います。
現在、社外取締役がどのくらい登用されているでしょうか。その会社に直接的な利害関係がない、独立した社外取締役という視点で見ると、公開企業で、2005年で31%、2006年で36%、徐々に社外取締役が取締役会に入るようになっています。東証一部に関して言えば、40%ぐらいの会社が、いま社外取締役を登用しているということです。本来進むべき方向ではないでしょうか。
委員会等設置会社については、今の法制度そのものに対していろいろな意見もありますので、まだ多くはありませんが、委員会等設置会社でなくても、諮問委員会だとか報酬委員会という委員会を設置している会社はたくさんあると思います。
そういう意味で、健全な経営をすることを保証するための取締役の改革というのも要ると思います。それから、企業行動基準、これは会社としてどういう経営活動をするのかということを示しています。我々の会社の例ですが、原則として世界中同じ基準で経営をしています。東南アジアでは日本の労働慣行あるいは社会慣行と違う慣行がありますが、我々は基本的には世界中同じ考え方です。そして、この企業行動基準の中には、互恵取引をしないとか、インサイダー取引をしないとか、購買先から金品をもらってはいけないとか、法律を守るとか、他人の違反行為に気づいた場合には社員にはそれを報告する義務があるということが盛り込まれています。要するに、何か不正をやっているということを知っていてもそれを言わないということが、本来、社員としての責務を果たしていないということも企業行動基準に入れているわけです。そして、これに反する活動をした場合には、ビジネスの評価に関係なく、処分、懲戒解雇になります。単に売り上げとか利益を上げただけでは評価しない。ルールに反した社員は処分をするという基準があって、なおかつ、建前なく実施することで、社員もこういうことを守っていくことになるのだと思います。我が社では、全社員が入社時点から毎年1年に1回、改訂された最新の企業行動基準を読んで、このとおり活動しますということを誓約します。本当に違反した場合には処分をするということによって、この企業行動基準も、つくるだけではなくて、実効性のあるも
のになると思います。
内部通報システムについてお話します。これは経営者と社員とが意見交換がするためのシステムです。会社の経営の内容等についていろいろ疑問があるときに、それについて質問をしたい、しかし、自分の名前が知られることは嫌だという社員もいるわけです。そのときにコーディネーターが必要になります。我々は社内にコーディネーターを置いています。会社によっては外部の弁護士事務所を使っているところがあります。実名で書いても、そのコーディネーターが本人の名前を伏せて経営者に問題提起をする、経営者が調査した結果はコーディネーター経由で社員に返されるということで、問題提起した人間については、匿名が守られかつ回答は得られるという仕組みです。このような仕組みをつくるだけではなく機能させるためには、こういう制度がある、こんなふうに利用されているということを社員に徹底することが必要であり、それによって社内にあったいろいろな不正を早く表面に出すようにすることも会社の運営には必要ではないでしょうか。
内部統制については皆さんご存じのように、日本版のサーベンス・オクスリー法対応といわれており、商取法のいろいろな改正が行われています。日本の場合にはITを統制に利用していくことも含まれています。
環境問題についてですが、これまで日本は、公害に対する対策を主としており、これが環境対策の第1段階です。そして、第2段階は、経営と環境とはバランスしなければいけない、環境負荷を減らさなくてはいけないということで、最近は、環境あっての経済活動であると変わりつつあります。要するに、地球温暖化等の配慮をしないで活動するということは、国際競争の中で日本の環境負荷を削減できない、CO2の排出を削減することができないということです。また、環境税のようなものを導入すると自分は不利になるのではないかというような議論もありますが、地球環境を守らない限り、最終的には人類の存在を危うくすることになり、このような経営活動をしても長続きしないという考え方に変わりつつあるということです。
社会貢献、文化・芸術とか学術支援も大事ですが、最近は環境などに対応した社会貢献が行われています。当然、会社のイメージを高めるとか、ステークホルダーや社会と良好な関係をつくるとかいろいろありますが、あわせて、こういうことに配慮している会社に勤めているということが社員にとっても誇りであるということもあり、社会貢献に取り組むのも大事だと思います。情報システムの場合でも社会貢献はあると思います。目の見えない人でもウェブを利用できるようなシステムをつくるというのは、情報分野での社会貢献の一つではないでしょうか。
社員に関する問題に関しては、ワーク・ライフ・バランスがあります。日本で今、長時間労働が問題になっていますし、一方でサービス残業という言葉も言われています。私は、知的労働者の給与を勤務時間で決めるサービス残業という発想が本当はおかしいと思うのですが、過大に長時間働くというのは、社員から見ても生活と仕事のバランスをどうとるかというのが問題になるわけですから、できるだけ多様な働き方ができる仕組みが要るし、そのためには時間とか空間を考えて働けるような環境をつくっていく、例えば在宅勤務などをしやすくしていくことが必要です。これはIT技術を利用することによって、社員の仕事と個人生活をうまくバランスできるのではないでしょうか。
日本では、厚生労働省が主催している「男性も育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」という協議会があります。実は私はそこの座長をしています。6歳未満の子供を持つ男性は、1日当たり育児・家事にどれだけ時間をかけているのでしょうか?日本は48分、アメリカ3時間26分、イギリス、フランスは大体2時間から3時間、大体3時間です。先進国は男性が子育てとか家庭のために3時間使っています。日本だけが48分です。皆さんがご家庭で家事をされているかわかりませんけれども、私の反省も含めて、やはりこれは問題だなと思います。ワークライフのバランスも考えられるような経営の仕組みにしていくということも企業の社会的責任ではないでしょうか。
いろいろお話ししましたけれども、CSRというのは経営の中核に位置づけるべき重要な課題です。CSRには、不正をしないというだけでなく、環境に配慮する、社会にとってより好ましい価値をつくり出すという攻めの価値創造ということがあると思います。そして、信頼され、好ましいと思われ、選ばれる会社になることが企業が持続的に成功していくために必要ではないでしょうか。結局、企業も情報社会のシステムも人々のためにあります。人々、あるいは社会、あるいは人類に対して反するような活動は社会から認められません。ですから、何か企業というと金もうけだけをして悪いことをしているのではないかというような意識、社会の厳しい見方があるとすれば、企業経営者を含めて、企業経営に当たる者として襟を正さなければいけないということをお話しして、私のお話を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)
文責:上野 南海雄(〔株〕オージス総研 顧問)