情報システム学会 メールマガジン 2010.10.25 No.05-07 [10]

連載 著作権と情報システム 第19回

司法書士/駒澤大学 田沼 浩

1.著作物

[3] 文化庁案「著作権審議会第六小委員会(コンピュータ・ソフトウェア関係)
       中間報告」(11)

IV 保護の内容

 二 著作権
(3)放送権、有線放送権
 著作権法公衆送信のうち、著作権法(中間報告が発表された昭和59年1月現在、以下同じ。)第23条には、「著作者は、その著作物を放送し、又は有線放送する権利を専有する」と規定されている。この放送は、同法第2条第1項第8号に「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信の送信を行うことをいう」とし、有線放送は、同法第2条第1項第17号に「公衆によって直接受信されることを目的として有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設備の場所が他の部分の設備の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信を除く。)」と定義している。
 中間報告では、電話回線などを利用したオンライン・システムによるプログラムの提供が考えられている。当時は放送権と有線放送権しかないため、プログラムを特定多数の者に対して反復して伝達されるオンライン・システムは有線放送権に及ぶと解された。現在では「公衆からの求めに応じて自動的に行う(著作権法第2条第1項第9号の4)」自動公衆送信権が及ぶことになる。また、公衆の用に供されている電気通信回線(インターネット)に接続している自動公衆送信装置(サーバー)に情報を記録又は入力させたりすること、また、このような情報が入力されている自動公衆送信装置(サーバー)について、公衆の用に供されている電気通信回線(インターネット)に接続させることを送信可能化(アップロードのこと)といい、自動公衆送信にはこの送信可能化も含まれている(著作権法第2条第1項第9号の5)。
 公衆送信権は公衆であることが前提となるため、公衆ではない特定者への送信(電話、ファクシミリ、Eメール)は含まない。

引用・参照文献
著作権法概説第13版、半田正夫著、法学書院、2007年
著作権法、中山信弘著、有斐閣、2007年
ソフトウェアの法的保護(新版)、中山信弘著、有斐閣、1992年
岩波講座 現代の法10 情報と法、岩村正彦、碓井光明、江崎崇、落合誠一、鎌田薫、来生新、小早川光郎、菅野和夫、高橋和之、田中成明、中山信弘、西野典之、最上敏樹編、岩波書店、1997年