情報システム学会 メールマガジン 2009.1.30 No.03-10 [4]

藍綬褒章受賞記念インタビュー
  山本喜一理事・慶應義塾大学理工学部教授
「ユーザの立場から広い視野でソフトウェアを標準化」

 山本喜一理事・慶應義塾大学理工学部教授は、長年にわたって、ソフトウェアエンジニアリングおよびヒューマンインタフェースの国際標準化および国内標準化活動に尽力されてきた。その功績が認められて平成20年秋の藍綬褒章を受章。メルマガ編集委員会は、山本先生の受賞を記念して、ソフトウェアの標準化活動の内容と意義、国際標準化活動への日本の関与と貢献、標準化活動が情報システムに与えた影響についてインタビューを行った。(聞き手:砂田薫)

標準化を国家戦略として位置づける

――藍綬褒章の受賞おめでとうございます。ソフトウェアの標準化について私は全くの素人ですので、今日は初歩的な質問が多くなりますが、よろしくお願いいたします。はじめに、先生がソフトウェアの標準化活動に関わり始めた経緯を話していただけますか。

山本 オフィシャルには1983年となっているんですが、実際はもっと早かったのです。私はビジュアル・プログラミングの研究をしていたので、流れ図記号を作っていました。その標準化を行う国内の委員会に引っ張り込まれたのがそもそもの発端です。情報関係の規格を担当する国際組織はISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の二つがあったのですが、これらが合同して"JTC(Joint Technical Committee)1"ができました。国内委員会というのは、それに対応する日本の組織のことで、もともとは通産省が担当していたのですが、同省が情報処理学会に委託する形で、1970年代終わりに情報処理学会の中に"規格調査会"ができたのです。その最初の頃から関わっていました。
 JT1は、分野別にSC(Sub Committee)に分かれ、私が長年活動しているのはソフトウェア技術とくにソフトウェアエンジニアリングの標準化を担当している"SC7"です。これは1980年代前半だったと記憶していますが、JTC1ができた後すぐに設置されました。そこで、ソフトウェアの国際規格を作り、また国内ではJISを作るということをずっとやってきたわけです。1998年にSC7の委員長になりました。また、国内では1991年から経済産業省のJIS規格を審議する"情報技術専門委員会"の委員をつとめてきました。それ以前にも経済産業省の中にあった委員会に参加していました。褒章の直接の理由は、国際活動ではなくて国内活動に対する貢献のようですので、そういう委員会活動が評価されたということのようです。

――とはいえ、国際的な貢献も当然評価されたのではないでしょうか。

山本 私自身としては、国内の委員会活動ももちろん重要なのですが、SC7だとか、その後にできた"SC35"というヒューマンインタフェースを規格化する委員会での国際的な活動に力を入れてきましたので、そういうことは言えると思います。平成20年秋には早稲田大学の筧捷彦先生と同時受賞になりました。情報関係の規格化に関する活動でよく存じ上げておりますが、二人が同時受賞というのは初めてなんですね。過去に何人かが受賞されていますが、大学関係だと東京農工大の西村恕彦先生が初めて受賞され、一昨年はIBMの方が受賞されていますが、だんだん経済産業省の標準化に対する見方が変わってきたように感じています。私は5〜6年以上前から、標準化を国際戦略というか国家戦略として位置づける必要があると主張してきました。いつまでも外国で作られた標準を輸入しているだけでは駄目で、日本発で、日本がイニシアティブを取っていくことが大切だと。その主張がようやく認められるようになったという感じがします。

――それが日本のソフトウェア産業のためにもなるということですか。

山本 個人的には、会社の利益のためではなく、ユーザのために活動を始めたのです。というのは、規格が決まっていく過程でなかなかユーザの意見が入らない。作る側が勝手に規格を決めるというのが多いけれど、それは間違いではないか、ユーザの意見を反映すべきではないかと思ったからです。でも、残念ながらユーザは意見を言う場がないんですよね。初期のコンピュータは、ユーザが非常に限定されていたからどうにかなりました。けれども、PCが出てきて多くの人がコンピュータを使うようになった現在では、もっとユーザの意見を反映すべきだと思いますね。一応、JISでも形式的にはメーカー、ユーザ、中立者の3者が対等な立場で意見を出すことになっていて、私自身は大学にいますから立場上は中立になります。でも、多くの場合ユーザは知識がないので、私は中立というよりは、どちらかといえばユーザの立場で意見を言うことにしています。

デファクト市場でデジュールが必要な理由

――IT産業の経済分析によれば、IT市場ではネットワーク外部性が働いて、デファクトスタンダードとなった技術が圧倒的なシェアを占めるとされています。にもかかわらず、デジュールスタンダードをつくる活動が重要である理由は、デファクトだけではユーザの意見を技術開発に反映させていくのが難しいためなんですね。

山本 マイクロソフトのWindowsはデファクトスタンダードですが、ここ1〜2年、同社はISOの会議に出席しています。これまではデファクトだけでやってきたけれども、フォーマルな規格も重視する方向へポリシーを変えてきている。市場にとって優位性の高いものは、国際規格にする必要は全くないはずです。しかし、いつまでも市場で優位性を保てるわけではないので、ある種の規格化が必要だというわけです。デファクトはほとんど場合が大きなドミナント企業によって自由に作られています。たとえば、日本語対応などは典型例ですが、最初から2バイトコードを使えば何の問題もないのに、当初は1バイトコードでまるで考慮されていなかった。最近は、企業も最初から2バイトにするようになった。そういうふうに企業が変わってくるというのもデジュールスタンダードの役割ですね。いろいろな国が一票をもっているので、大国だからとか、大企業だからという理由でゴリ押しはできなくなる面はあります。
 また、ここ数年の傾向として、U.S.とヨーロッパの二極構造の問題があります。ヨーロッパはEUになったのだけれど、国としては別で、票数をたくさん持っている。だからEUで一丸となって押されると結構決まってしまう傾向があります。一方のU.S.は影響力の強い技術をたくさん持っているので発言力は強い。U.S.とヨーロッパの二極構造でだいたい決まっていて、日本はあっちに付いたりこっちに付いたりということが多かったんです。私は数年前からアジアパシフィックがまとまって三極構造に変えていくべきだと主張しています。韓国、中国、シンガポール、マレーシア、インドが入って、アジアのポールをつくっていかないと駄目だよねと言っています。最近ようやくアジアポールというか、まだポールまではなっていない緩いゆるい連携ですが、三極の体制ができつつあります。

――2バイトコード問題の他にも、アジアの国々がまとまることのメリットが大きいのでしょうか。

山本 文化的な違いが実は結構あるんですね。たとえば、昔のマッキントッシュのゴミ箱のアイコンは、trash canが描かれていて、東洋というか少なくとも日本のユーザにとってはゴミ箱には見えないわけです。このように、とくにインタフェース関係は西欧とアジアの文化的相違が大きく表れてきますね。インタフェースだけではなくて、ソフトウェアエンジニアリングでも開発工程の考え方だとかドキュメンテーションの作成方法など、違いはあらゆるところにあります。

――とすると、インタフェースの規格化を担当するSC35では日本をはじめアジアからの発言がとりわけ重要になってきますね。

山本 SC35は、オフィスイクイップメントの規格を担当していたSC18が解散した後に設置されました。SC18の中にアイコンやキーボードを担当していたワーキンググループ"WG9"があったのですが、それを継承させる形で、私が中心になりSC35を平成10年度に作ったのです。国内では平成11年3月に専門委員会ができました。私は準備委員会のときから委員長として関わってきました。SC7が30カ国くらい参加しているのに対し、SC35は10カ国くらいですので規模は小さい委員会です。しかも、大きなメーカーはほとんど関心を持っていなかった。ただ、最近になってマイクロソフトが出席するようになりました。

――なぜ、マイクロソフトは変わったのでしょうか。

山本 U.S.でセクション508(508条)が3年ほど前に制定されました。ベトナム帰還兵である障害者が使える電子機器でないと、政府調達の条件を満たせなくなったのです。そこからアクセシビリティが重要な課題になり、それがソフトウェアにも広がり、マイクロソフトはきちんと対応すべきだという判断をしたのだと思います。U.S.はセクション508を改訂して範囲を広げています。一方、ヨーロッパは人権意識が強い国が多いので、EUで委員会をつくって決めている。それで国際規格との整合性という話も出てきたのです。

――マイクロソフト以外にも規格化に熱心な大企業はありますか。

山本 たとえば、IBMはアイコンの規格化にも積極的に関与しています。そもそもアイコンとは何か。絵文字とどう違うのか。アイコンの定義から始まりました。絵文字は印刷に使うものなので動かない。それに対して、アイコンはディスプレイに表示するものなのでダイナミックに動いてもいい。絵文字は抽象化しているが、アイコンはもっと写実的で、たとえば写真でもいい。そういう議論から初めて、漢字は究極的なアイコンではないかという話になりました。象形文字的なものであれば、漢字を使う民族であれば、おかしな絵を使うよりよほどかわりやすいですよね。

――日本、中国、韓国の合同提案もあるのですか。また、日本やアジアの発言力は高まっていますか。

山本 インタフェース部分では韓国とは結構一緒に協力してやっています。アジアの発言力は少しずつ高まってきていると思います。SC7でも全体のポリシーを決めるビジネスプランニンググループがあって、そこには私は最初から入っているので大きな発言力を持っています。SC35も設立時から関わっていて、チェアマンと私が一番古いので、勝手にはさせないぞ、という感じですね(笑)。ずっと参加し続けることによって、そういう重みが出てくるというか。SC7も早稲田大学の東基衞先生がWG6でソフトウェアの品質をご担当されていますが、東先生はSC7の最古参、私は三番目くらいになるでしょうか。国際会議で発言力を増すには、長年継続していることの積み重ねがとても重要です。

――ところで、IT市場でデジュールではなくデファクトが力を持ってきた背景には、技術革新のスピードの問題もあると思います。デジュールではどのように対応されていますか。

山本 昔は4年以上かかっていたのが、最近では2年で決めるというようにスピードアップしています。でも諸刃の剣で、じっくり審議しないと危険な面もある。そうはいっても、いまの状況をみると、2年でも遅いくらいでスピードアップが重要な課題と思いますね。規格化を議論すべき技術がどんどん増えていくので、それに合わせてワーキンググループも増えています。

国際会議での交渉と日本の貢献

――国際標準の決定までには、ひじょうにポリティカルでタフな交渉が展開されるとよく聞きますが、ソフトウェア分野でも同じですか。

山本 同じです。激論になることもよくあります。

――英語での激論となると、日本人にとっては語学の壁も高いですね。

山本 語学力というよりも、曖昧にしない、駄目なものははっきりとノーということのほうが重要です。西欧人はその点がはっきりしていて、テクニカルな話なのでノーといったからといって仲が悪くなることは決してありません。終われば、一緒に食事をして交流を深めます。

――SC7で先生が一番、激論されたのは何でしたか?

山本 最近では、"IS15504"というプロセスアセスメントに関わる問題でした。私はその技術の専門家ではないのでタッチしていないのですけれども、プロセスアセスメントの認証機関をつくろうという話が出たので、それをつぶすために相当な議論をしました。全部英語なので日本に認証機関を設置することは不可能なのです。そうなると、ヨーロッパの認証機関から認証を受けないと駄目になる。それはまずいと思って、ものすすごく精力を使ってつぶしましたね(笑)。

――それはありがとうございます(笑)。ヨーロッパとしては認証をビジネスにして利益を得ようとしたわけですね。

山本 そうです。そういう動きが"IS15504"以降、ものすごくプレッシャーが強くなっていて、サービスマネジメントでもそんな話がありました。私とは関係ないですが、ISO9000シリーズ、14000シリーズでは認証をやられてしまいました。これからもたくさん出てくるでしょう。イギリスは認証ビジネスで食べていきたいという意志を明確に出しています。ヨーロッパだけではなくて、オーストラリアもそうですし、U.S.もそうです。それに対して日本は弱いんですね。民間ベースの認証ビジネスはありうるでしょうが、それが国際規格とリンクすると少しまずいのではないかと思います。
 たとえば、ソフトウェアとは関係ない話になりますが、よく話題にされるケースとして、
電気洗濯機があります。日本の一層式の電気洗濯機はふたを開けると回転が止まりますよね。それでも安全ですし、日本の国内規格では十分なんです。しかも、世界中で日本が一番洗濯機をたくさん生産しているんです。しかし、日本のメーカーはIECの国際規格に全然参加していなかった。そのため、ふたを開けたときには浴槽が止まっていなければならないという国際ルールができてしまった。日本のメーカーの製品はふたを開けた瞬間はまだ動いていて急ブレーキで止まるので、それは国際規格に反しているということになり、東南アジアやEUに輸出できなくなりました。それで大騒ぎとなり、日本は急遽IECに参加して、その条項を変更させるために2年くらいかかった。日本が大失敗をした典型的な例としてよく出される話です。

――日本企業は標準化に対して関心が薄すぎるのでしょうか。ソフトウェアの分野でも似たような話はありますか。

山本 一般的に日本は標準化への関心は薄すぎますね。でも洗濯機の問題が起こって、はじめて国際標準の威力を知って、いまはそういうことはなくなっていると思います。ソフトウェアの分野ではいまのところないと思いますね。日本からの輸出がほとんどないですから。ただ、ソフトウェアの外注化が進むようになって、いろいろな所で開発するようになると、ある種の規格に沿うようにしなければ問題が出てくるでしょう。そういう意味では大企業はかなりセンシティブになってきていまが、問題は中小企業です。興味がないというより、標準化のために人を出すような余裕がないんですね。ローカルな仕事をしている限り、あまり関係ないのですが、国際的に仕事をしようと思ったらそうはいかなくなるでしょう。

――国際標準を決める過程で、日本人にとってたいへんだと思うことはありますか。

山本 やはり言語の問題があります。規格を策定するさいに、ファストトラックといって、すでにIEEEやANSIなどで規格になっているものについては、短期間で国際規格に直接提出できるという制度があります。すると、何百ページもある英語の文書を2〜3カ月で読みこなして判断しなければならない。短期間で全部読んで理解し、評価まで下すのはとてもたいへんです。

――山本先生と一緒にそういう作業に取り組んでいらっしゃる方は日本に何人くらいおられるのですか?

山本 正確な人数はわからないですが、たとえばSC7ではたぶん200人くらいいらっしゃると思います。委員会の委員は30人ですが、その下にいま13のワーキンググループが活動しています。それぞれに数名から20名くらいが関わっているので、全部で200人以上が関わっています。SC35のほうはトータル50名くらいでしょう。

――この人員体制は他の国と比べてどうなんでしょうか?

山本 日本は一番しっかりやっています。日本の場合は以前から比較的きちんとした体制をつくってきました。

――家電では手薄だったのに、ソフトウェアがきちんとした体制を作られてきたというのは意外でした。何か理由があるのですか?

山本 どうしてでしょうね。家電はたぶん国内消費がメインで、デファクト的にやっていればOKだったんでしょう。逆にソフトウェアはすべてのものを輸入していたので、外国のものをきちんと勉強する必要があるという背景があるかもしれませんね。
 SC7はソフトウェアエンジニアリングなので、開発手法だとかサービスマネジメント、信頼性や品質を議論していて、いまやITガバナンスまで入っています。ITガバナンスは違うだろうといっていますが、オペレーショナルな部分でサービスマネジメントと重なる部分が入りますね。SC7は国際的にも非常に大きくて、昨年はベルリンで総会をやって200名以上参加しました。日本はU.S.に続いていつも二番目に参加者が多い国です。しかも、U.S.は国内での委員会をそれほど開催していないようですが、日本は毎月開催しています。ヨーロッパで組織的に活動しているのはイギリスとドイツですね。イギリスのBSI(British Standard Institute)、日本の規格協会にそうとうする団体がかなり力も資金ももっています。ドイツはDIN( Deutsches Institut f?r Normung:ドイツ規格協会 )があって、そこがかなりの予算をもって活動しています。

――SC7で規格化されたものは政府調達の条件になっているのですか?

山本 一部は入っています。JISは日本の法律なので調達に使えるんですけれども、国際規格も調達に使えるようにということで、部分的にはそうなっています。国際規格も政府調達に取り入れていく方向にあるといえるでしょう

――国際的な標準化活動において、多くの日本人がたいへんな努力をされて貢献されてきたことがわかりました。しかし、それに見合うような評価を受けていらっしゃるのでしょうか。

山本 大学の先生方は論文書いている時間がないので、当然低くなってしまいます。また、標準化を戦略的に使うという発想がいままでなかったわけですから、企業の方も所属組織で評価されにくかったようです。ただ、企業の利益に関わる問題ですので、評価は変わっていくでしょう。そういう意味でも、今回の褒章は嬉しいですね。貢献していることをもっと企業や社会にアピールするということも重要だと感じています。

――最後に、標準化活動によって、日本の産業にとって、日本のユーザにとって良かったことは何ですか?

山本 だいぶ昔の話ですが、流れ図はいろいろなところに使われていますが、あれは規格ができたからこそ普及したのです。構造化プログラムも開発方法を規格化しました。いまでも国際規格としてもJIS規格としても残っています。安定した規格として教科書にものっています。ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)のように、情報システムの基礎知識になっているものがかなりあります。いまはあまり使われていないかもしれないけれど、"ソフトウェアの状態遷移の構成及びその表記方法"がJIS化されました。最近だとUMLです、まもなくJIS発行となります。
 SC35で日本から提案しているのは、アクセシビリティ・セッティングのためのアクセス方法です。目の悪い方がコンピュータを使おうとすると、いまは補助機能がついていて、文字を大きくしたり、キーボードをうまく使えない人のための工夫があったりする。しかし、ユーザ自身でそのセッティングができないんです。しかも、Windows、Unix、アップルでみんな違う。それでは困るので日本から提案してもうすぐ国際規格ができるはずです。各メーカーが採用してくれれば同じ方法でセッティングできるようになるわけです。あれこれ考えていくと面白い発見がたくさんある。何気なく普段使っているものでも、本当にこれでいいのかと考えることが大切です。

――人間にとっての情報システムはどうあるべきか、というテーマとそのあたりがつながってきそうですね。

山本 今までは、作った者が勝ちみたいな世界ですが、ユビキタスのように"どこでも誰でも"となると、お仕着せではだめでユーザビリティ、アクセシビリティが必要になってきます。信頼性やセキュリティもシビアになってきます。全部がつながってくるんですね。情報システム学会を創設したときに、メーカーサイドだけでもなく、ユーザサイドだけでもない、多面的な視点が重要であるという議論があったと思います。私は全部を見ることができることが非常に重要だと思う。我々の責任でもあるのですが、その点がいまの教育に一番欠けていると思っています。つまり、開発者を育てたり、うまく使えるユーザ教育をしたりしているけれど、お互いがお互いをわかる必要がある。そういう全体をわかる人がどんどん減っていて、専門家ばかりになっています。そこがちょっと気になるところですね。私はたまたまSC7とSC35という立場が異なる両方をやっているので、全体を見ることができる立場にありますが、違うようでいて実は深く関係しています。SC35の中でも、技術的バックグラウンドがなくて机上の空論をいっても意味がないわけですから。若い人たちには、専門家でもあり、かつゼネラリストでもあってほしいと願っています。

以上