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         情報システム学会 メールマガジン
           2007.1.30 No.01-05
目次
[1] 第21回理事会報告(2007.1.27)
[2] 役員改選についてのお知らせ
[3] 会員コラム このまま読ませてはいけない!「13歳のハローワーク」
    (久冨和子)
[4] 会員コラム ICIS2006に参加して (杉野隆)
[5] 会員コラム 情報政策史をめぐって 第3回 (砂田薫)
[6] 書評 野矢茂樹著「入門!論理学」 (芳賀正憲)

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[1] 第21回理事会報告(2007.1.27)

 月次に開催されている理事会の今回の議題は次の通りです。

議題1 入会会員承認
議題2 来年度総会の会場,講演者
議題3 来年度研究発表大会会場
議題4 選挙管理委員会から選挙の進め方の件について
(電子投票システム,役員候補者推薦細則,及び選挙権等の取り扱い他)
議題5 第2回研究発表大会報告
議題6 役員改選の件
議題7 言語技術教育について
議題8 学会の検討課題について
議題9「情報システムのあり方を考える」研究会からの追加予算要求について
議題10 その他

 詳細はこちら
 → http://www.issj.net/gaiyou/rijikai.html
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[2] 役員改選についてのお知らせ

 情報システム学会は,発足2年を迎えようとしています。役員(会長,副
会長,理事)の半数は2年任期であり,今回改選されます。始めての役員選
挙ですが,電子投票システムで実施するために,現在準備中です。
 2月1日に学会Webページに選挙公示と候補者推薦の依頼がアップされま
すので,ご覧下さい。
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[3] 会員コラム このまま読ませてはいけない!「13歳のハローワーク」
                             久冨 和子
   13歳のハローワーク 公式サイト→
     http://www.13hw.com/feature/ps/02_02.html

 「世の中にはこんな職業がある」という切り口で13歳前後から20歳くらい
までの年齢層をターゲットにした村上龍著のベストセラーである。本編にで
はなく付録に「ITの現状と可能性(伊藤譲一×村上龍)」というコラムが
存在する。「このまま読ませてはいけない!」とITに関わる方々なら,きっ
と憤るそんな描かれ方がされている。
例えば
「ただいわゆるIT屋さんの仕事は,マニアックで地味な仕事になっていくと
思います。」
「新しい技術が出てくると,何万人という単位で雇用が消える,ITというの
は,そんなことが実際に起こる業界なんです。」
「SEというのは,電卓が普及する以前の,そろばんのプロ,みたいなもので
す。ソフトが一変すると,それ以前のプログラム技術はゴミと化す,みたい
なことがよく起こります。」
「SEのような単純労働ではなく,本当はもっとクリエイティブな部分に,子
どもや若者の興味を向けるようにしないといけないと思います。」

 IT業界で新たなビジネスが起こり,雇用創出が進んでいるビジネスもある。
また,IT業界で夢を持って創業し,クリエイティブに活動している人材は沢
山居る。
 2003年10月に同著は始めて出版され,それまでには無かった切り口により
大いに注目され,日本の公共図書館や学校の図書室にも配架されている。伊
藤譲一氏はIT業界では著名な人物とあるが,単に伊藤氏が極端にITの仕事を
捉えた内容であると放置していてはいけない。私は1ヶ月程前に知人から教
えられて知り,出版社に個人的に質問状で誤解がないよう記載を変更するこ
と等を求めているが,予想通り返事は未だない。出版社が一個人のクレーム
に応じることは,残念ながら可能性として低い。次代を担う子ども達にとっ
てITの職業のブランディング活動を行うことは,IT人材を育成する上で非常
に重要と考える。今後,情報システム学会として取り組む重要テーマとする
ことを提案したい。

html版は http://www.issj.net/mm/mm0105/0105-3-kc-kh.html
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[4] 会員コラム「ICIS2006に参加して」   国士舘大学 杉野 隆

 米国ミルウォーキーにて2006年12月10日−13日に開催された、情報システ
ム学に関する国際会議 ICIS(International Conference for Information
Systems)2006の模様を報告する。

 本文はこちら
 → http://www.issj.net/mm/mm0105/0105-4-kc-ts.pdf
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[5] 情報政策史をめぐって 第3回
 「日本のIT政策元年」      国際大学GLOCOM 砂田薫

 本文はこちら
 → http://www.issj.net/mm/mm0105/0105-5-jhsss03.pdf
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[6] 書評 野矢茂樹著「入門!論理学」(中公新書)    芳賀正憲

 16世紀の日本にやってきた宣教師が帰欧後著した書物に「日本の知的風
土には,論理性と抽象性が欠落している」と書かれているそうである。
 今道友信先生によると,明治7年西周が最初に論理学を紹介したとき,名
称は「致知学」となっていて,原稿には次のように記されていた。「さて,
ロジックてふは,此ノ日本にも漢にも昔よりさる学ビのなきものから,人い
とあさましく思ふへけれど,・・・・・」当時人々が論理学に対して,「意
外なものがある」と驚いていた様子が伺われる。
 130年以上経った今日も,論理については,状況があまり変化していな
いように思われる。国会でも大新聞でも,論理的におかしい議論が盛んに行
なわれている。コンピュータメーカで数100名の社員に最も初歩的な論理
思考のテストをしたところ,結果はここには書けないほど低い成績だった。
論理性に欠けた知的風土は,わが国で国際的なレベルのソフトウェア開発が
できない大きな要因になっていると考えられる。

 論理とは,言葉と言葉の関係である。したがって,本質的に国語の問題で
ある。しかし,このことを自覚している国語の先生は少ない。そのためわが
国では,何年学校に通っても,論理思考が身につくとは限らない。
 それに対し,論理について説明した良書は実はたくさんある。その中でも
出色のものが,昨秋発行された,野矢茂樹著「入門!論理学」(中公新書)
である。
 この本の面白さは,「はじめに」のところによく表れている。メルマガ読
者の方々には,まず書店で「はじめに」のところだけでも目を通して頂きた
い。この本の特長がよく分かるだろう。一部引用すると次のような記述があ
る。「タテ書きにしたことで,そして(記号論理学であるにもかかわらず)
記号を使うことを禁じたことで,私たちがふだん使っていることばと論理学
との関係にいっそう敏感になることができました。論理というのは,私たち
がふだんことばを使うときの重要な技術のひとつです。(中略)その論理の
仕組みを解明したい,それが論理学にほかなりません。私は,この本で,私
たちのふだんづかいのことばから,その論理を取り出し,理論化し,体系化
する,その最初の産声を取り上げようと思いました。ここには,まだプニプ
ニしていて,ホカホカしている,そんな産まれたばかりの論理学の姿があり
ます。」

「私が考えるもうひとつの(入門書の)タイプは,少し唐突な言い方ですが,
「哲学」です。つまり,その学問の根本的なところ,その本質を,つかみと
り,提示する。論理学ってけっきょく何なんだ。何をやっているんだ。禅坊
主の言い方を借りれば,襟首つかんで「いかなるかこれ論理学」とか「作麼
生(そもさん)!」とか迫るところです。入門だからこそ,その根っこをつ
かまなければいけない。表面的なあれこれを拭い去って,根本を取り出そう
とするその態度は,まさしく哲学です。」

 このような方針のもとに本書では,「ではない(否定語)」「そして」
「または」「ならば」「すべて」「存在する」などの基本的な言葉を通じて,
述語論理の成り立ちが厳密に説明される。そしてこれらの言葉が作り出す演
繹的推論の全体が見通され,その公理系の完全性や健全性,さらには「ゲー
デルの不完全性定理」まで遠望される。しかも,通常はむずかしい論理が,
話し言葉でユーモアを交えて述べられるので,読者はたびたび笑いながら
ページを繰っていくことができる,驚くべき論理学の本である。著者の野矢
茂樹氏は,わが国哲学研究の第一人者とのことだが,抽象的な概念のこのよ
うに平明な解説は,読者が仕事の中でプレゼンをするときの参考にもなるだ
ろう。

 この本を読むと,論理学とはまさに言葉と言葉の関係のモデル化,つまり
文法,すなわち国語の問題であることがよく分かる。情報関係の研究や仕事
に携わる方々には,是非読んで頂きたい一冊である。

html版は http://www.issj.net/mm/mm0105/0105-6-bk-mh.html
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