情報システム学会
旧任意団体 設立趣意書
2005年4月23日
人間活動を含む社会的なシステム
 インターネットに代表される新しい情報技術が,ビジネスや市民生活に革新的な変化を及ぼしています。現在,企業にとっては情報システムをいかに効果的に構築・活用するかがその存亡を左右する要因となっています。一方,公共的な情報システムのトラブルが一般市民に多大な損害を与え,社会に対する脅威になっていることも考えなければなりません。情報システムにおけるこうした光と影を的確に理解することが望まれています。そして,情報への意識・感性を高めていくことが大切です。
 こうした世の中にあって,情報システムは,“情報の利用を望んでいる人々にとって,手に入れやすく,役に立つ形で,社会または組織体の活動を支える適切な情報を,集め,加工し,伝達するシステムであり,それは単にコンピュータを中心にした技術的なシステムを指すものではありません。むしろ,人間活動を含む社会的なシステムである”と認識することが非常に大切です。情報技術の高度化に伴い,その利用は社会の隅々まで及んでいます。したがって,情報社会が健全な発展を遂げるためには,人間活動を活性化するという視点で,利用者にとって,真に有用で安全な情報システムを構築していくことが,最も必要なことだと思われます。

 情報システムの構築・活用にあたっては,単に情報技術の効率的な利用を狙うだけではなく,人間の情報行動の理解に立脚し,横断的・総合的な価値基準のもとに,その概念的枠組みあるいは社会的影響について考察する努力が必要です。そして,情報システムの企画,開発,運用,評価という実践的な活動を通して知識や技術を体系化していくことも重要になります。

 このような視点から情報システムに関心を持つ人々の相互研鑚の場として,情報システム学会を設立し,情報社会の健全な発展に寄与することを願うものであります。
 
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